2007年1月21日

ありがとう

2007年幕開け早々の1月3日、我が川崎浩所長のお母様がお亡くなりになりました。享年80歳、昨年暮れの29日に急性の心筋梗塞により緊急入院、驚異的ながんばりで一旦は回復に向かい集中治療室から一般病棟に移ったそうですが、その翌日容態が急変して無念にも帰らぬ人となってしまいました。

私の知っている亡きお母様は世話好きで話好きでとにかく元気な方でした。

私が言うのもおこがましいのですが、早くにご主人を亡くし、女手一つで二人の息子を立派に育て上げてきた方ですから、そのエネルギーというかパワーの強さにはいつも驚かされていました。

私の家内が所長と従兄弟ということもあり、家内も「おばちゃん」には幼い頃からとてもお世話になっていました。入院するつい数日前、そのおばちゃんが所長の弟さん夫婦と一緒に家内の実家を訪れ、最近ちょっと足腰が弱ってきた家内の母親(おばちゃんにとっては妹です)を「がんばれがんばれ」と励ましてくれていたそうです。

昨年の夏頃に腰の手術をして入院していたおばちゃんを家内と連れ立って元気付けにお見舞いに行ったときも、まだ起き上がることもできないおばちゃんが、逆に私たち家族の健康と事務所の行く末を気遣うお話を一所懸命して下さいました。そんな言ってみれば父親の強さと母親の優しさの両面を持ち併せたような方でした。


告別式の日、火葬場で最後の別れを迎えたその時、棺の中で眠るおばちゃんに向かって所長兄弟のお嫁さんが口々に「お母さんありがとう!」と精一杯の声をかけられました。その思わず発した「ありがとう」に込められたこれまでの時間とお二人の気持ちの重さに、この時ばかりは私も胸が一杯になってしまいました。そして滲んで見える棺に向かって手を合わせ『おばちゃん良かったね、皆に感謝されて・・・』と心の中で何度も呟いていました。


「ありがとう」と感謝されて幕を閉じることができる人生


私たちにとって一番身近な家族という社会に目を向けると、どんな人でも他人にはわからない苦労や悲しみを経験し、時にはちょっとしたボタンの掛け違いによる争いやトラブルに直面したりもします。

しかし、それぞれに与えられた時間の中で互いの気持ちをコントロールして、そういった事象を何度も乗り越えながら知らず知らずのうちに愛情や信頼関係を強くしていく、そうやって時間をかけて成り立って行くものだと思います。

そんな家族の一員として自分はどういう生き方をすればいいのでしょう?

29000日の生涯を生き抜いたおばちゃんは私にこう教えてくれた気がします。

誰に対しても胸を張って正々堂々と向き合っていくんだよ
愛するものを命を賭けてでも守り通すんだよ
家族や周囲に対してどんなときでも思いやりを持つんだよ

おばちゃんのように「ありがとう」と感謝されて幕を閉じることができる人生を、果たして自分は送ることができるだろうかと考えたとき、すでに18000日近くを過ごしてしまった私は、改めて限りある残された一日一日を決して無駄には過ごせないと身の引き締まる思いがしました。


自らの死、というよりその生き様をもって私にそんな気持ちを抱かせてくれた
おばちゃん! 最後の最後まで “ありがとう!”

ご冥福をお祈りします

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