2014年9月1日

子育て今昔

「どうしようかなぁ…」

「ん? どうした深刻な顔して」

可愛い孫娘陽菜のパパ
すなわち我が家の次男坊が悩んでいる

「うん スマホのことなんだけどね…」

「スマホがどうした 便所にでも落としたか」

「違うし! 子どもにね…どうやって使わせればいいかってね」

「おお 今話題のスマホ子育てってやつか」

「うん いつ頃から持たせるかとかね…
小さい子どもがいるウチの今一番の悩みだよ」

「なるほどね」

社会の日進月歩はその一方で必ず大きな課題を産むものです



今は昔、ウチの子どもたちが本当に子どもだった頃(笑)、我々の子育ての悩みは、ファミコンやポケコンといった、俗にテレビゲームと総称された、当時の子どもたちにとっての神器といかに付き合わせるかでした。

時代は変遷し、小さな子どもを持つ現代の親の一番の悩みは、言ってみれば20年前の神器テレビゲームの機能を平気で併せ持ち、その何倍ものアクションが楽しめるiPhoneやiPadといったスマートデバイスを、我が子にどのように利用させたらいいかという問題のようです。

巷では、小さな子供に使わせる、使わせないについて賛否両論の意見が飛び交っているようですが、一方では「スマホ子育て」なる、実際の子育てにスマートフォンやタブレットを利用している親御さんも少なくないと聞きます。

私らの子育て時代、母親が家事で手が離せなくなると、となりのトトロやピーターパンといった定番アニメのビデオを流し、子どもたちをテレビの前に釘付けにさせておくというテクニックをよく使ったもんですが、現代は小さな子がグズったり騒いだりすると、いつでもどこでもスマホに保存したお気に入りのムービーなどを見せて、おとなしくさせるという方法が一般的になっているようです。

事実、もうすぐ二歳になるウチの孫娘も、パパがスマホに保存している「♪ヨーでる ヨーでる ヨーでる ヨーでる 妖怪でるけん でられんけん♪」なんてのを見せると、曲に合わせて歌うは踊るはで、すぐさまごきげんになる姿を何度も垣間見ております。

親としては子供をあやす何とも便利なツールと位置付けられますが、最近はこの「スマホ子育て」が社会問題として大きく取り上げられるようになり、何歳くらいから使わせるか、フィルタリング機能をどう活用するかといった具体的な問題や、これらスマートデバイスを教育に取り入れる方法など、一般参加者が有識者とディスカッションするイベントなどがあちこちで開催されているそうです。


そんな中でよく言われることに「使い方のルールを決める」という意見があります。

「デジタルえほん」の作家で、NPO法人CANVAS理事長の石戸奈々子さんは、「どういう教育を子どもに受けさせたいかを考えるのと同じように、まずは親がどうやって子どもにスマートデバイスを使わせたいかを考えてみることが大切です。子どもの年齢や興味に合わせて『子どもが使うときは親も一緒に使う』など、親子で一緒にルールを決めて利用するといいと思います」と述べています。

そしてフィルタリング機能の利用については、「できるだけ自由に利用させたいのですが野放しというわけにはいかないので、勝手にダウンロードできないようにするなどの利用制限はかけています。親が選んだ良いと思うアプリをセットしておいて、その中から子どもが遊びたいものを選んで使う環境を用意しています。テクノロジーによる制限と教育もセットで提供していくことが大切ではないでしょうか。親自身が主体的に関わるためにも、子どもが使うアプリを親が、もしくは年齢に応じて親子で一緒に選ぶことが大事だと思います」と仰っています。


また、知育アプリと呼ばれるスマートデバイス専用のアプリケーションソフトを開発する株式会社スマートエデュケーション社長の池谷大吾氏は、アプリ利用者の母親から最も多く質問されるという一日の使用時間について、「アメリカの研究機関の発表や国内教育関係者の考えをもとに、スマートデバイスから映し出される映像への接触時間は、2歳以上で一日2時間以内が目安」と提言されています。

さらに、いつから使わせたらいいかという質問に対しては、「生後8ヵ月から」と答えています。これは、よく書店で売られている「音の出る絵本」などが、8ヵ月からの幼児を対象としていることに起因しているようです。


園児がiPadを利用する幼稚園としてTV番組でも取り上げられた、東京福生市の聖愛幼稚園園長野口哲也氏は、その幼稚園でのiPad利用について、「園児たちは自らルールを守って順番に遊んでいる」と語り、園でのスマートデバイスの利用方法をこう説明しています。

「朝9時~10時の登園する時間が、園児たちがiPadで遊んでいい時間帯としています。子どもたちはこの時間、それぞれ外で遊んだりiPadで遊んだりして過ごしています。iPadのアプリで遊んでいる子は、例えば『一曲終わったら交代』などとルールを決めて順番に遊んでいます。お絵描きアプリなどは『砂時計が終わったら交代』というルールにしています。次の子が、砂時計をじっくり見てるから、ある一人の子だけが長く使うということはほとんど起こらないですね。たまに次の人に(iPadを)渡したがらない子もいますが、ルール違反をすると、年長の子が年少の子に注意してますね。先生が注意するよりも、子ども同士で注意し合ったほうが、みんなで順番に遊ぶものだってことが分かるようです。もちろん使うアプリはこちらでセットして、アクセスガイドというアプリでその日によって使えるアプリの制限をして利用しています」
(「子どもとスマホのつき合いかた」有識者に聞くデジタル教育や知育アプリの可能性
The Huffington Post 2014年03月19日参考)


ウチでも昔、子どもがファミコンを始めると、「8時までだよ!」とか「1時間だけよ!」などと長時間遊び呆けることがないように制限をかけていましたが、親がガッチガチのルールを作って従わせようとしても、納得できない子どもは親の目を盗んでやるような悪循環を引き起こすこともありなかなか難しいものです。

先の有識者の方々の提言を見ると、やはり単に遊ぶ時間だけを制限してあとはご自由にと放任するのではなく、子どもの年齢に応じてどんなアプリで何をするのかを親が吟味して、その環境を作ってあげることが重要なポイントになりそうです。


今やスマートデバイスは、例えば電車やレストランなど静かにして欲しい場所で、子どもが騒いだりグズったりしたときの子守りのアイテムとしても抜群の効果を発揮しています。子どもは誰でも遊びの中から色んなことを学んでいくものです。前出の石戸奈々子さんによれば、子どもが何度も同じ絵本を読んだり、同じアニメを見たりするのは、毎回毎回新しい発見をしているからなのだそうです。


現代のスマートデバイスは、私らの子育て時代に敬遠していた遊ぶためだけのテレビゲームとは少し違い、教育や人と人とのコミュニケーションツールとして、これからますます日常的且つ多方面に亘って利用されるようになるのは確実です。

ですから小さな子を持つ親御さんは、あまりネガティブに制限やルールばかりに捉われず、ウチの子どもには絵本があってクレヨンがあってぬいぐるみがあってスマホがある、そのくらいの位置付けになっていけば理想的なのかなと思います。




「飯食ってるときも勉強してるときもって
依存症みたいになっちゃうと困るしね…」

「TPOをわきまえられるようにするのは
スマホの問題じゃなくてお前たちの躾の問題だよ
世の中の常識や社会のルールを子育ての中で
お前たちがきちんと身に着けさせてあげれば
やっていいことといけないことは自然に分かるようになる」

「そうか こっちの問題か…」

「そういうことだ(笑)」