2015年7月18日

大人の休日倶楽部  ~前編~

「いやいやお父さん こんな可愛い孫は他におらんでしょ」

旨そうに焼酎を煽りながら 薩摩隼人の爺がつぶやく

「ホントにね~ 愛嬌のある表情してますね
それに顏下半分はお父さんにそっくりだぁ~(笑)」

好奇心旺盛に高速ハイハイと捕まり立ちを繰り返し
二人の婆と若い叔母とパパママを振り回す孫を眺めながら
こちらも気分よくグラスを飲み干してにこやかに応える

「いやいや似てないでしょ~そんな似てますかぁ?(嬉)」

「とにかくよその孫とは比べものにならんですよ
よその孫なんか見る必要ないですわ ワッハッハッハ!」

頬を紅く染め 初孫あるあるを素直に連発する薩摩隼人

「・・・(汗)」

少しだけ先輩爺である私のニコやかな笑顔は
少しずつ苦笑いに変わって行くのだった…(;^_^A



二ヶ月ほど前、東京に住む長男夫婦の子ども、要するに私らの孫が一歳になるので「一升餅」のお祝いを、この7月4日に両家の親と同じ東京で働く妹も呼んでみんなでやりたいから来て欲しいと長男から連絡をもらいました。

私らにとっては久しぶりに孫に会えるだけでも嬉しいことなので、二つ返事で喜んで行かせてもらうと返事をしましたが、ちょうどこの7月上旬は、一年のうちで私の仕事に最も余裕がある時期ということもあったので、どうせ東京に行くならそのまま東北にでも旅行しようかなんて話が盛り上がり、あれやこれやと準備を進めるうちに、結局JR東日本大人の休日倶楽部で行く、東京~青森~宮城3泊4日のオリジナル旅行プランが出来上がってしまいました。

余談ですが、JR大人の休日倶楽部の4日間フリーパス一人15,000円というのはかなりお得です。何しろこのパスがあればJR東日本の電車なら新幹線から在来線まで全線すべて4日間乗り放題、おまけにこの料金のままで6席まで指定席も取ることができます。

私らもこれをフルに活用して、松本~新宿の特急あずさから、東京~青森~仙台~大宮~長野の東北、北陸新幹線の4席、そして長野~松本の特急しなのまで、すべて指定席を確保して快適スムーズに移動することができました。

因みに今回と同じJR乗車券を指定席まで含めて個々に購入すると、一人55,000円余りなるのでそのお得感は相当なものです。


さて、話があっちこっち飛んで恐縮ですが、東京での孫の一升餅のお祝いは、鹿児島から上京した長男の嫁のご両親と一年ぶりの再会ということもあり、孫を囲んでそれはそれは楽しい宴となりました。


先方のご両親にとっては初孫の男の子、しかも薩摩隼人の父上にその風貌がよく似ているので、初めて爺となった父上にとっては、まさしく目に入れても痛くないという愛おしさが言動に溢れ出る幸せなお姿。

その姿が可愛いくらいに微笑ましく、拝見している私らが何とも言えぬ幸せな気分にさせてもらいました。



そして故郷を離れ、知り合いも少ない都会の真ん中で我が子の育児に奮闘する長男の嫁は、仕事で帰りの遅い夫の食事はもちろん、離乳食が始まったばかりの我が子にも毎日欠かさず手作りの食事を作っていると聞き、結婚する前に彼女が自ら言っていた、二人の母親を見習って家族には毎日手料理を食べさせるという約束をちゃんと守ってくれていることを知り、皆が笑顔で頑張って暮らしていることを実感しながら、旨い酒と料理、さらに底抜けに可愛い孫の仕草を肴に、私ら夫婦は時間を忘れ夢心地で酔わせてもらいました。

そんな長男の嫁を実の姉のように慕う娘も、初めての可愛い甥っ子にメロメロで、大好きな酒もほどほどに動き回る甥っ子の後を追っかけ回し、一体何枚撮るんだよと言いたくなるほどのショットを満足そうにスマホに収めていました。

娘は高校を卒業して東京に出てからまったく放ったらかしで好きにやらせてますが、家族を大切に思い、子どもが大好きな魅力ある女性に成長してくれています。

そんな一人暮らしの娘をいつも気遣ってくれる長男の嫁は、三年前の両家顔合わせの席にも娘を誘ってくれ、以来何かあると必ず娘も一緒にと声をかけてくれます。

さすがに顔合わせの席では鹿児島のご両親に失礼ではないかと娘の同席を懸念したものですが、ご両親はそんなことはお構いなしに快く迎え入れて下さり、私が酒豪の長男の嫁ととても気が合うように、今では先方のお父さんと冗談を言い合えるほど仲良くなって、それこそ友達のように可愛がってもらっています。

子どもに育てられながら少しずつ親になっている長男夫婦、休みも不規則な忙しい仕事に自分なりのやりがいを持って生き生きと暮らす長女、そして大らかで優しいフィーリングドンピシャの鹿児島のご両親、一年に一度の至福のときは、孫の一挙手一投足に大爆笑が渦巻く中でアッという間に過ぎ去って行きました。

こんな素敵な家族の輪を広げてくれた長男夫婦に心から感謝しています。


さて、日付は変わりいよいよ東北への旅が始まります。

此度の東北旅行で私らがなぜ行き先を青森と宮城にしたのか…
それはフェースブックの繋がりがもたらした素敵な縁に起因します。

私は三年ほど前からSNSのFB(フェースブック)を友人とのコミュニケーションや身近な話題の情報収集、また性別、年齢、仕事、居住地などを問わない心ある方々との出会いのきっかけとして活用してます。

現在FBで繋がっている友達は180人あまり、うち頻繁に交信しているのは50~60人程度と決して多くはありませんが、意味もなくだれかれ構わず繋がろうなどと最初から思っていませんし、孫を三人も持つ熟年サラリーマンの私にとって、友達の皆さんに失礼のないコミュニケーションを保つにはこのくらいが適当かなと思ってます。

そんなFBで繋がった友達の中に、青森と宮城に暮らすお二人の君がいました。

そもそも東北と言っても、私も家内も二十歳そこそこの頃にそれぞれ仙台に一度だけ行ったことがあるだけだったので、ネットやガイドブックなんかに頼って観光客向けの企画や施設に乗っかるよりも、せっかく現地に知り合いが居るんだから、その君達の住む地を訪ねてみようと迷うことなく決めたのです。

そしてFBからその旨のお願いをメッセージしてみると、お二人とも即答で快諾。
こうして今回の東北旅行の行き先はそのお二方が住む青森と宮城になったのでした。

その東北珍道中は次回…お楽しみに!



「ホントに東京から3時間で青森に着いちゃうの?」

「そう書いてあるから そうなんだろうね」

「はやいね・・・」   「・・・そうだね」


生粋の田舎者は初めて見る東北新幹線に圧倒されながら
時速300キロの『はやぶさ11号』に乗り込むのであった

To be continued
    next week




2015年5月31日

おにぎりは…おにぎらず?


「おっ これが今流行りのおにぎらずか?」

ある日の弁当にカミさんが作ってくれた話題のメニュー

「普通のおにぎりよりボリュームあるなぁ~」

「そもそもこれ おにぎりじゃないから…
色んな具を使えるから楽しくていいんじゃない」

「でもおにぎりより作るの大変そうだね」

「ううん こっちの方が手間かからないんだよ
ご飯に挟んで海苔で包んでギュッと押して切って完成(笑)」

「へ~ 見た目もこっちの方が豪華なのにな」

「色んなこと考えるもんだね」

「まったく…だれが考えるんだろ」




現在、巷で評判の「おにぎらず」 皆さんはもう食しましたか?

最近ウチの家内もFB友達のアップに刺激され、製作頻度がやたら増えてます。

でもこれが結構嬉しいお弁当メニューになっていて、弁当箱を開けた瞬間目に飛び込んでくるボリューム感といい、通常のおにぎりではまず使わない、ハンバーグやらエビフライやら、卵焼きに目玉焼きにウインナー、はたまたチーズにレタスにトマトまで…

挟む具材の種類もまさしくサンドイッチ同様バラエティに富んだ逸品です。


一体いつ頃から世間に出てきたのだろうとそのルーツを探ってみると、その歴史は結構古く、今から25年前、ウチの次男坊が生まれた平成二年にグルメ漫画の「クッキングパパ」で紹介されたのが始まりなのだそうです。

何でも「クッキングパパ」の作者うえやまちと氏の奥様が、子育てや仕事に追われるなか、炊き立てのご飯で素早くおにぎりを作る方法はないかと考案したのがきっかけで、それをご主人のうえや氏が「おにぎらず」と名付け、第213話でクッキングパパの主人公荒岩一味が小学生の長男のために作ったお弁当として掲載したとのことです。

しかし、おにぎりと言えば泣く子も黙る日本食の母のような存在。その伝統あるおふくろの味を崩した形のおにぎり界の異端児ともいえる「おにぎらず」は、紹介されてすぐの頃はあまり日の目を見ることはなかったようです。

ところが昨年9月、主婦やOLに人気の高い料理レシピサイト、クックパッドの人気の検索キーワードに「おにぎらず」がいきなり登場し、これに注目した同サイトの編集部がクックパッドニュースで取り上げたところ、忙しい朝でも簡単に作れて美味しいと評判を呼び、その後あちこちのSNSで一般ユーザーが自分の作ったおにぎらずを頻繁にアップするようになり、じわじわと注目されるようになったと言われています。

さらに追い打ちをかけたのが、今やブームの仕掛け人と言われる料理研究家のオガワチエコ氏が、今年1月にNHK朝の連続テレビ小説の後番組「あさイチ」で、ご自身が出版した「おにぎらずの本」からいくつかのレシピを紹介するコーナーに出演し、これで一気にブームに火が付いたようです。


それからというもの「おにぎらず」人気はうなぎ登りの様相を呈し、色んな企業がビジネスチャンスと捉えて関連製品の開発販売に乗り出しています。



老舗海苔メーカーのニコニコのりでは、おにぎらずの魅力を引き立てる「おにぎらずのための塩のり」なる専用海苔を開発。

今年3月から販売を開始したところ注文が殺到し、大判の味付海苔がこれだけ反響を得たのは同社始まって以来と嬉しい悲鳴を上げているとのことです。




また、4月の終りには、あの持ち帰り弁当チェーンのほっかほっか亭が、前出の仕掛け人オガワチエコ氏が監修したという、その名も「おにぎらず」を商品化し販売を始めました。

同チェーンを展開する㈱ハークスレイでは、夏までに600店舗まで販売を広げる計画だと言われています。



なぜこれほどまでに「おにぎらず」人気が高いのでしょうか。

その背景には「時短」というキーワードが隠れているような気がします。

日々のルーティンワーク(家事)はサクっと済ませ、自身の趣味やスキルアップ、また家族のために有効に時間を使いたい。そんな働く女性が増えてきた現代ならではのニーズの高まりが大きく作用しているのではないでしょうか。

自動掃除ロボット、濃縮洗剤、ワンコイン英会話、食材宅配サービス…etc

現在私たちの周辺には、このような働く女性をターゲットとした商品やサービスがどんどん増えています。そして企業側もいわゆるこの時短商材に注目し、新しい製品やサービスの開発に経営資源を投入していると言われています。

こういった現代社会の流れの中で、より一般ユーザーのニーズにマッチする商品やサービスがヒットし、そしてブームになるのでしょう。

誕生から25年経った現代だからこそ、「おにぎらず」が大ブームとなっている理由がここにあるのではないかと思います。




「今日の弁当…カレーとおにぎりって面白いね…」

「あら お口に合わなかったかしら」

「いや 口に合わないってか…食い方難しいじゃん」

「そう じゃ明日はおにぎらずにカレー挟んでやるわ」

「いや カレーは普通にご飯がいいかと…」

「朝は時間がないんだから ガタガタ言わない!」

「ハイ すみません」

そうそう 作ってもらえるだけで感謝ですよ
世のお父さん方・・・(汗)



2015年4月30日

ようこそ我が家へ Vol.3

「4時30分 3,345gの元気な男の子が無事産まれました!」

ラインの家族グループに息子から一本のメッセージ
そして産まれたばかりの赤ん坊の画像が数枚アップされた


「ヨッシャー やったぁー! ありがとう!」

「ホントによかった おめでとう!」

「めっちゃ 可愛い~~ パパそっくり~!」

「元気そうな赤ちゃん ママに似てるよ~」

家族のみんなから次々とお祝いと歓喜のメッセージが入る

「あかん 涙が止まらん…」

「やばい 泣ける…」

「絶対安静から三ヶ月 ホントよく頑張ったね」

家族全員が涙と微笑みで顏をくしゃくしゃにした瞬間だった



平成27年4月24日午後4時30分
次男夫婦に待望の第二子「晴哉(はるや)」が誕生しました。


私ら夫婦にとっては三人目の孫ということになりますが、何度この瞬間を経験しても、人間の生命の誕生とは真に命懸けであるとその度に思い知らされるものです。


昨年次男夫婦に二人目の赤ちゃんができたと分かったとき、今年4月23日が予定日だと伝えられていたのですが、その三ヶ月も前の1月中旬、やや体調が思わしくなかった次男の嫁は、定期の健診で切迫早産と診断されました。

それから暫くは少しでも嫁を静養させようと、カミさんが車で5分もかからない彼らのアパートに毎日通い、孫娘の面倒を見たり食事の支度をしたりしてできる限り支えて来たのですが、24時間ずっと見ていられるわけではなく、やはり幼児を抱えた母親はゆっくり眠ることもままならず、気をつけていても無意識に無理をしてしまうのか、1月の終わりには主治医から絶対安静を宣告されてしまいました。

このときお腹の子はまだ1千グラムちょっとしかなく、ここで産まれてしまうと超未熟児となり命の不安も否めないということで、少なくとも2千グラムを超えるまでは絶対安静が必要なので、自宅で療養するか即刻入院するかどちらか決めるようにと言われたそうです。

私は息子からその話を聞いたとき、産まれてくる赤ん坊と母親の身体のことを考えると、正直入院した方が良いのではないかと思いました。

しかし息子夫婦には二歳になったばかりの長女陽菜がいます。母親である嫁は、幼い娘を残して入院などできないと、父親である息子と相談して限界まで実家で療養することを選択しました。

そうと決まれば今まで以上に我々両親が彼ら親子を支えてやらなければと思うのですが、いかんせん嫁の実家は車で1時間以上かかる諏訪なので、以前のようにタッパに料理を詰めて買い物ついでに持って行くなんてわけにはいきません。

ここは実家のご両親にバトンタッチして委ねるしかありませんでした。

すると、娘の不安な現実を受け止めた実家の母上が、長年勤めてきた仕事を辞めると仰ったそうです。

この緊急時に仕事をしながら娘と孫の面倒を見ることはできないと、娘の家族のために退職願を出されたというのです。幸いにも仕事のできるベテラン社員に辞めてもらっては困ると会社側に慰留され、特例で休職扱いにしていただき、母上もそれを承諾したと聞いて我々もホッとしたのですが、私は母親の子を思う気持ちの強さに改めて頭の下がる思いがしました。

そんな母上と、仕事で疲れているにもかかわらず、毎晩孫娘をお風呂に入れ、寝かしつけてくれたという実家の父上の献身的な支援のおかげで、嫁は無理することなく安静に過ごすことができ、お腹の赤ちゃんも4月に入って2千グラムを超えて一時の心配な状況から脱したときは、家族全員本当に安堵したものでした。

こうして皆に支えられ、予定日を裕に一日遅らせて、大物になりそうな三人目の孫晴哉が誕生したのです。父親である息子が最初のメールで、「3,345㌘」「元気な」を敢えて報告したかった気持ちがよく分かります。


そして、甥っ子誕生の報告を受けた東京で暮らす兄妹達が、すぐにでも晴哉に会いたいとその翌日に帰郷しました。

週末二日間の強行日程でしたが、久しぶりにみんなが顔を合わせるということもあったので、出産した病院の近くの諏訪の温泉に宿をとり、甥っ子が産まれた三日目に心弾ませて初めての対面に赴きました。

遠く離れて暮らす長男夫婦と長女も、晴哉が産まれるまでの経緯をもちろん知っており、特につい一年前に出産を経験した長男の嫁と、二人の嫁を実の姉のように慕う娘は、絶対安静を強いられていた次男の嫁に頻繁に激励のメールを送り、ずっと彼女を元気付けてきました。


それだけに晴哉の誕生を自分のことのように喜んでいた長男の嫁は、初めて甥っ子を抱っこしたとたんに号泣。

その溢れる涙が我々家族の思いをすべて伝えてくれて、それ以上の言葉は何も必要ありませんでした。



新たな生命が誕生するたびに家族の絆が強くなり、その新たな生命が家族一人一人を成長させてくれることを改めて強く感じさせてくれた三人目の孫晴哉の誕生でした。




「元気な弟ができて良かったね 陽菜お姉ちゃん」

「晴哉だよ ヨロシクね」

「ハ・ル・ヤ」 (^_^)





2015年3月31日

ご存知ですか?『ふるさと納税』 

「ねえねえ ふるさと納税って誰でもできるの?」

また愛読書の三流週刊誌からネタを仕入れてきたのか
のんびり晩酌していた私にカミさんが尋ねてきた

「ああ 基本的には誰でもできるはずだよ」

「なんかカニとかウニとかイクラとか貰えるらしいじゃん」

ほらきた 確実に週刊誌か昼のワイドショーだ

「ああ 寄付先の市町村や寄付金額によって違うけど
今そのお礼の品競争が熾烈になって大変みたいだよ」 

「でも 絶対得なんでしょ? ウチはやらないの?」

「絶対得ってわけじゃないけど そもそも寄付だから
震災のあった東北とかだったらいいんじゃない?
ネットでググればどこでどんなお返しくれるか分かるよ」

「ホントー?! え~っと 北海道 北海道と…」

「だから東北とかって言ってる…」 



皆さんは「ふるさと納税」という制度があるのをご存知でしょうか?
内容はよくご存じなくてもどこかで一度は聞いたことがあるかと思います。

ふるさと納税とは、過疎化などにより税収の減少に悩む地方自治体の格差是正を促す手段として、今から7年前の2008年に地方税法の一つとして創設された制度です。

細かい経緯や背景はウィキペディアなどでご覧いただくとして、一言でいうと昔住んでいた故郷とか、好きな場所がある自治体、応援したい自治体などに任意で寄付をするという制度です。

そして支払った寄付金の一部が、一定の計算により自分が負担する所得税と住民税から控除される仕組みになっているため、単なる寄付金ではなく「ふるさと納税」と称されているわけです。

ここ数年は、ウチのカミさんのように、その寄付先の自治体から特典と称して進呈される特産品ばかりに注目が集まるようになり、それを受けて各自治体も我が町に寄付してもらおうと、特典で凌ぎを削るという状況がエスカレートして、今では人気のある自治体や特典がランキング形式で紹介されるまでになっています。

因みに今年3月の人気自治体の第1位は

宮崎県綾町 人気の特典は「綾牛ステーキ」に「完熟マンゴ-」

第2位は北海道上士幌町 人気の特典は
「アイス工房ドリームのジェラートセット」

第3位は鳥取県米子市 人気の特典は
「熟成糸巻ロースハム」に
「生クリーム大福」

なんてことになっているようです。






その「ふるさと納税」の制度がこの4月1日から一部改正されました。


【住民税の特例控除額が引き上げに】

前段で寄付金の一部が税金から控除されると紹介しましたがその控除限度額が引き上げられました。

ふるさと納税の税額控除額は次のように計算されます。
①所得税の控除額=(年間寄付額-2千円)×所得税率

②住民税の控除額= 下式のA+B
A基本控除:(年間寄付額-2千円)×10%
B特例控除:(年間寄付額-2千円)×(90%-所得税率)

これまで上記②Bの特例控除額が、自己が負担する住民税(所得割)の10%が限度だったのですが、これが20%に引き上げられました。


文章ではちょっと分かりにくいので計算例で見てみましょう。

年収450万円(住民税所得割18万円)のサラリーマン夫婦(妻は専業主婦)の場合

ふるさと納税の寄付を3ヶ所に合計5万円した場合
※寄付する自治体件数は制限なし、寄付金額は総所得金額の30%(所得税法は40%)が上限となっています

①所得税の控除額=(5万円-2千円)×10%≒4,800円※1

②住民税の控除額=A:(5万円-2千円)×10%=4,800円
B:(5万円-2千円)×(90%-10%)=36,000※2
A+B=40,800円

※1=所得税は累進課税方式なので概ね10%として計算しています
※2=この計算式では38,400円になりますが住民税の20%が限度なので
18万円の20%の36,000円が控除限度額になります
(改正前はこの限度額が10%だったので18,000円でした)

①+②=税額控除額合計45,600円なので、5万円の寄付をしてますが税金が戻ることによって、実質自己負担額は4,400円で3ヶ所の自治体からの特典を手にすることになります。損得勘定(感情…かな?)はご自身でご検討下さい(笑)


【一定の要件のもと確定申告が不要に】

これまではふるさと納税をして税額控除を受ける場合、確定申告をすることが要件だったので、通常確定申告を要しない一般のサラリーマンにとってはこれがネックとなっていました。しかし今回の改正で、給与所得しかないサラリーマンが寄付を行った場合、確定申告を不要とする「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設されました。

これは本人の申請に基づいて、寄付先の自治体から住民票のある自治体に直接寄付の事実が通知されるため、この特例制度が適用される場合のみ所得税の確定申告を不要とし、税額控除を住民税に一本化するというものです。

但し、これはもともと確定申告をする必要のない給与所得者だけが対象で、他の要件として年間のふるさと納税の寄付先が5ヶ所以下でこの4月1日以降の寄付に限り適用されるため、今年1月~3月に既にふるさと納税をした人や、サラリーマンでも医療費控除や住宅取得控除などの還付申告をされる人は、併せてこのふるさと納税の税額控除も申告する必要があります。

以上のように、税額控除限度額が増えて、しかも確定申告不要となると、一般サラリーマンのふるさと納税を行う確率がかなり増加するのではないかと思われますが、一方で、政府は熾烈を極める各自治体の豪華特典合戦に苦言を呈する次のような喚起事項を発令しています。

『ふるさと納税について、当該寄付金が経済的利益の無償の供与であること、当該寄付金に通常の寄付金控除に加えて特例控除が適用される制度であることを踏まえ、豊かな地域社会の形成及び住民の福祉の増進に寄与するため、都道府県または市区町村がふるさと納税に係る周知、募集等の事務を適切に行うよう要請する』

このお達しにより、巷では各自治体の特典が相当質素なものになるだろうと言われていますが、はてさてどうなりますことやら…今後に注目ですね。



「え~~ じゃあもうカニとかウニとかイクラとか貰えないの~?」

「そんなこと分からんよ
まあ度を過ぎた特典はダメよと言っても
いきなりカニがカニカマにはならんだろ」

「あ それ おもしろい!」

相変わらず切り替え早いな…


実際の寄付の方法などはYahoo公金支払サイトが分かりやすいです
URL= http://koukin.yahoo.co.jp/furusato-nouzei/

2015年2月28日

確定申告 誰がする?

「お父さん 確定申告ってやったことないけど
オレは何もしなくていいのかな...」

思わずコケそうになることを息子が呟いた

「お前 この期に及んで何を言ってるの?」

今年25歳になる会計事務所所長代理の息子が今さら何…

「てか そもそも確定申告って…なに?」 

ちょっと待ってよお兄さん そもそも…ってなんですの

新婚さんいらっしゃいの桂文枝師匠よろしく
私は椅子ごと転がり落ちるほどの衝撃を受けたのだった



私ら会計事務所は毎年2月~3月が所得税確定申告業務の最繁忙期となります。

確定申告という言葉は社会人であれば一度は聞いたことがあると思いますが、特にウチの息子のように、お給料だけで生計を立てているサラリーマンの場合、それが一体何をするものなのか、どのような手続きで誰がしなければならないかなどご存じない方が結構いらっしゃるようです。


現在只中にある所得税の確定申告とは毎年2月16日~3月15日の期間中に、個人が自身の前年一年間の儲け(所得)に対して公平に負担すべき税金(所得税)を計算し、その税額を国に申告して納付する手続です。

一口に所得税といっても、一個人の儲け(所得)には多様な種類があって、所得税法という法律ではその所得を次の10種類に区分しています。そして原則としてこれらの所得の合計額が38万円を超える場合は、基本的に確定申告をする義務が生じます。

その10種類の所得とは…

自営業と称される個人商店などの事業や農業などから生じる儲け(事業所得)

アパートや貸家、貸地などの賃貸料収入から生じる儲け(不動産所得)

預貯金の額に応じて銀行等から受け取る利息収入(利子所得)

株式など保有する有価証券に対して支払われる配当金(配当所得)

サラリーマンの皆さんが受給するお給料(給与所得)

不動産や有価証券、事業用の動産などを売った場合に生じる儲け(譲渡所得)

生命保険や損害保険などの満期保険金や競馬、競艇などの儲け(一時所得)

公的年金や個人年金の収入、講師料、原稿料、太陽光売電収入など(雑所得)

山林を伐採して売ったり立木を売ったときの儲け(山林所得)

退職金、退職手当など(退職所得)


基本的に確定申告すると表現しましたが、これらの所得があってもその金額や課税の方式から申告しなくても構わない場合もあります。細かい規定がたくさんあって、とてもすべてを紹介することはできないのでここでは割愛しますが、何かお知りになりたいことがあればお気軽にご相談下さい。

一つだけ、何も知らない息子のためにもお知らせしておきたいと思います。

ウチの息子のように一ヶ所からの給与だけを受給しているサラリーマンは、その給与支払者が年末調整という手続で所得税を精算してくれるので、通常は確定申告する義務はありません。しかし、その給与所得以外の所得が20万円超あれば確定申告しなければなりません。

逆に言うと一ヶ所からの給与所得しかないサラリーマンは、その給与以外の何らかの所得が生じても、その合計額が20万円以下であれば申告しなくていいということです。

ただ注意しなければならないのは、この規定はもともと確定申告を要しない給与所得者にのみ適用されるものなので、例えばその人が、年末調整で確定精算された所得税の還付を受けるために、医療費控除や住宅取得控除を使って確定申告するような場合は、給与以外の所得が20万円以下であってもその所得を含めて申告しなければなりません。


そして最近その給与以外の所得で増えているのが太陽光発電の売電収入です。

2012年7月に余剰電力の固定価格買い取り制度が始まってから、一般住宅でも太陽光発電装置の設置が増加し、発電された電力のうち自家消費する電力の余剰分を電力会社が買い取る形態が通常となりました。

この売電収入が確定申告の対象となる雑所得に該当するということで、給与所得しかないサラリーマンであっても、自宅の屋根に太陽光発電装置が乗っていて、売電による利益(売電収入から減価償却費等の必要経費を差し引いた金額)が20万円を超えていれば確定申告しなければなりません。

また、言うまでもなく、もともと確定申告義務のある人で売電収入がある場合は、その金額に関わらず他の所得と併せて申告する必要があります。

最近の新築住宅は太陽光発電装置が当然のように設置されるお宅が増えています。その場合余剰電力の売電も当然のように行われるので、今後ますます確定申告の対象となる方は増加するものと思われます。

売電による所得の算出は面倒な計算を伴う場合も多いので、気になる方はいつでもお気軽にお声かけ下さい。



「…ってことは オレは確定申告関係ないんだね」

「ああ 何もなければな…ただこれからは子どもが
医者にかかることも多くなるだろうから医療費の
領収書は捨てないでとっといた方がいいぞ」

「医療費の領収書…? それって何に使うの?」


「…お、おお また今度ゆっくり話すわ」

まだまだ先は長そうだ










2015年1月23日

死と向き合って生を学ぶ

「お父さん アサババ元気? 会いに行きたいんだけど…」

年末年始に帰省していた娘が私に問いかけた
アサババとは私の母 彼女にとっては祖母である

「お前さぁ もっと早く言いなさいよ~
今日は夕方から先約があるから無理だなぁ…
また今度帰ってきた時に一緒に行こう」

「そうか…アサババももう八十歳超えてるでしょ?
病気とか大丈夫なの?」

「今年八十四だな でも今の施設は生活環境が良くて
ウチにいたときより元気になってるくらいだよ
あの調子なら百まで生きるから大丈夫だ(笑)」

「ホントに~? じゃ まあヨロシク言っといてね」

「バカ者! 手紙でも書いて自分でヨロシク言いなさい」

「ハイハイ…」



新しい年のご挨拶が遅くなりまして申し訳ありません。
改めまして あけましておめでとうございます 本年もよろしくお願い致します。

「死と向き合って生を学ぶ」2015年のっけから少々重いタイトルで恐縮ですが、今年の正月休みに帰省した娘の姿を通して感じた思いを綴らせて頂きます。


昨年大晦日から正月四日まで、東京で働く今年24歳になる娘が帰省しました。

移動時間を考えると正味三日間しかない休みの中二日間を高校時代の友人と泊りでスキーに出掛けたので、自宅で私ら両親と一緒にいたのはほぼ一日だけというスケジュールで、今回もあっという間に東京に戻っていきました。

向こうでの仕事もかなり忙しいようですが、相変わらず何とも慌ただしい里帰りです。


娘が一日だけ自宅にいたその日、彼女は隣の実家に住む母方(カミさん)の祖父母と朝から半日近くの時間を過ごし、夕方から施設に入っている父方(私)の祖母に会いに行きたいと言い出しました。

実家の祖父母は隣に住んでいるので、当然ですが娘に限らず孫である子どもたちはみな帰省すれば必ず顔を出します。

そして頭はしっかりしているのですが、食事の時以外はほとんどベッドで横になっている祖母の傍らに座り、手を握って腕や足をさすったりしながら自らの近況を報告し、祖母の健康を気遣う言葉をかけ、明るい顔を見せては祖母を元気づけています。

そしてその後は、やはり頭はしっかりしていますが、腰が曲がってすっかり小さくなった祖父の肩を揉み、一緒にみかんを食べながら談笑するのが常となっています。

彼らは幼い頃からずっと実家の祖父母にはとても可愛がってもらっていたので、みな二人のことを大好きなのはもちろんですが、最近は、二人に余計な心配をかけないように、独り立ちした自分たちが、仕事も私生活もしっかりやっていることを報告するのが、おそらく祖父母への一番の恩返しになると考えているようです。

また、認知症があり、現在老人施設に入っている私の母の方はというと、週に一度私やカミさんが母の大好きな梅酒とクロスワード本を土産に様子を見に行っているのですが、栄養バランスの取れた食事を三度三度規則正しく頂いて、広いお風呂にも毎日入れさせてもらい、同じような境遇の方々とのんびり生活しているせいか、身体の方は私らもびっくりするほど健康になっており、本当に良い施設にお世話になれて良かったと感謝している昨今です。

今回、娘が会いに行きたいといった日は私に先約があって連れていくことができなかったので、祖母はとても良い環境で暮らしているので以前より元気になっていることを話し、また次の機会に一緒に行くことを約束しましたが、そのとき祖母の状態を心配しながら残念そうな表情をする彼女を見て、今までとはまったく違う心境を抱いていることが感じとれました。


「人は生まれたときから死に向かって生きている」

娘だけではなく、兄である二人の息子も、そしてその嫁たちもそうですが、ここ最近の彼らの祖父母に対する気遣いや優しい言動を見ていると、大好きな人に確実に死が近づいていることを、明らかに意識して生きていることが伺えます。

人はいつか必ず死を迎える有限の存在でありそれを身近に感じることで、いま、ここで自身がどのように生きているのかを内観することができるのではないでしょうか。

子どもたちが祖父母の命を尊び、祖父母がいたから今の自分があることに感謝し、その人たちのためにも自身が充実した人生を送ること、それが何より大切であることを、まさに今、彼らは祖父母の生死を通して学ばせてもらっているような気がします。

そしてまたそんな子どもたちの姿が、私ら両親に、彼らの祖父母が悔いのない満足な人生の終末を迎えることができるように、心を込めて残された時間を共有していこうと思わせてもくれます。

ここで言う祖父母の満足な人生の終末、それは彼らの家族である私たちがみな健康で明るく暮らしていることに他なりません。

私は娘のそんな姿に、祖父母の宝である我が家の家族が充実した幸せな人生を送ることができるように導いていかなければと新年早々教えられました。



「・・・じいちゃん・・・じいちゃん」

「お~~ ひな~~ よく来たなぁ~」

次男夫婦が娘を連れて年始にやってきた
曾孫の陽菜と大爺ちゃんは大の仲良しだ

「み~きゃん み~きゃん」

「そうかそうか 一緒にみかん食べようなぁ~」

どうやら毎回みかんで曾孫を釣っているらしい(笑)

しかし 可愛い曾孫を連れて顔を出す

これも立派な祖父母孝行だ