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2014年7月1日

起業

「父さん 母さん おめでとう!」

先月1日の結婚記念日翌週末 東京の長男が帰省した

「おう ありがとう さあさあ
ここの焼肉はあり得ない旨さだからどんどん食えよ」

当地松本に住む次男夫婦の強烈なリクエストで
私の友達が営む焼肉店に赴きお祝いの宴が始まった


「ひな~~ おじちゃんでちゅよ~~」

長男のもう一つ…というより本当の目的?
益々可愛らしくなった姪っ子陽菜との再会

夕方帰宅後その姿を見てからもうデレデレ
とにかく姪っ子をかまいたくてしょうがない


「ほら~ 陽菜もご飯だから お前も食べなさい」

母親にたしなめられ 目前に並べられた肉を二度見して

「何だこれ! ステーキじゃん!」

超厚切りの牛タンやらカルビやらを見て目を白黒させる

「兄貴 ここの肉ホントやべぇから」

すでに味を占めている弟は
ニヤついた顔で長男に囁く

そして長男は生唾を飲み込みながらこの日最初の牛タンをゆっくりと網に乗せるのだった

と これ以上肉の話をしてると誌面が終わってしまうのでここら辺で割愛させていただきます(笑)



先月、東京で商業デザイナーの仕事をしている長男が帰省しました。

当初、その一週間前に迎えていた私ら夫婦の結婚記念日のお祝いがしたいなんて殊勝なことを言っていましたが、実は嫁が出産を控え郷里鹿児島に里帰りをしていて自分が身軽だったこと、そして何より可愛い可愛い姪っ子に会いたくて、僅かな休みを使って実家に帰ったというのが本当のところだろう…と、私は思っていました。

しかし、此度の長男の帰省には、もう一つ大きな理由がありました。

それは、彼が以前一緒に働いていた先輩と二人で新たな会社を立ち上げ、今まで働いていたデザイン会社から独立したことを私ら家族に報告するためだったのです。


彼が働いていたのは東京港区にある中堅の商業デザイン会社でしたが、デザイナーという職業柄ホワイトカラーの勤務体系で仕事ができるはずもなく、夜中に帰宅するなんてことはしょっちゅうで、ときには会社に寝泊まりしてでも依頼された作品を仕上げなければならないこともあるなんて話も以前からよく聞いていました。

ただ、当然ですが彼はそんなことは百も承知で、自分がその仕事をやりたくて、高校を出て上京し、専門学校で技術を習得して始めたことだから、その勤務状況自体に不平や不満を漏らしたことは一度もありません。

そんな仕事を7年以上続けながら今年28歳になった長男は、数年前から自分がチーフとして課を任され、何名かの部下を持つようになっていましたが、自身の結婚を具体的に考え始めた頃から、自分に対する会社の評価の低さや、成果に対する還元の乏しさなどへの疑問をしばしば私に話すようになっていました。

しばしばと言っても彼とそんな話ができるのは年に一度か二度のことでしたが、私は最初にその話を聞いたとき、同僚や後輩がそのことについてどう受け止めているのかをリサーチして、もし会社の大勢がそういった疑心暗鬼な気持ちで仕事をしているようならそれは企業風土に問題があるから、お前たちチーフクラスの連中と経営の執行部との間で、労働環境や賃金規定について一度しっかり話し合いをするべきだろうとアドバイスしていました。

彼はその後、他のチーフらとともに経営陣との話し合いを何度か重ねたらしく、その甲斐あって各課の水揚げに応じて成果配分する独立採算方式が導入されるようになると、一時は嬉しそうにそんな報告をしてくれた時期もありました。

しかしそれでも日々の労働環境が大きく改善されることはなく、昨年6月の自身の結婚を契機として、家族を養っていかなければならないという責任感が自己の人生にとって最も大きなウェイトを占めるようになっていた彼は、昨年秋に嫁が赤ん坊を身籠ったことを知ると、経済的な問題にもまして、子供を持ってからも今までみたいに時間も休みもないような仕事を続けていて、果たして幸せな家庭を築けるのだろうかと、かなり悩んでいたようでした。


そんな折り、以前から独立するときには是非一緒にやろうと息子に声をかけてくれていた元先輩が、正式に新会社を立ち上げてこの6月に起業するという話が具体的になり、準備段階から十分な話し合いを重ねた結果、その新しい環境での仕事にかけてみようと覚悟を持って転職を決意したということでした。


息子からこの話を聞いた私は、取り立てて困惑することも焦ることもなく、自分でも不思議なくらい冷静に受け止めていました。

前々からそういったニュアンスの話を彼から聞いていたこともあるのでしょうが、今回の息子の決断が自分の仕事優先ではなく、家族のことを第一に考えた結論であるということが、私を納得させるに十分な判断根拠だったからだと思います。

もっとも、これまでと全く畑違いの仕事をするなんて話だったらこちらの対応も違いますが、今までやってきた商業デザイナーとしての仕事を、より分かりあえる仲間と一緒に、より個性的な色を出しながらやっていけると言うのであれば、28歳になる息子に向かって門外漢のオヤジがガタガタ意見する問題でもないと思うところもありました。


起業とは、大きな組織の資本力やネームバリューに頼ることなく、自分だからこそできるお客様に喜んでいただける仕事をする道を自ら切り拓く唯一の手段だ思います。

奢らずに勘違いせずに、起業しようとしたそのときの思いを、どれだけ永く思い続けることができるかが、成功と失敗の別れ道になるのではないかと私は捉えています。

失敗を恐れずに、素晴らしいブレーンとの関係を育みながら、自らの世界を築き上げてくれることを願うばかりです…

なんてもっともらしいことを言ってますが、私の本音は「万が一ダメでも、お前の家族くらいいくらでも食わしてやるから遠慮なくやってみろ!」というスタンスでいます。

私は彼らのオヤジとして、いつでもそういう立場でドッシリ構えていたいなあと淡い理想を抱いているのです。



「ひな~~ おじちゃんのこと覚えてるんだよ~」

名残惜しそうに長男が姪っ子から離れない(笑)

「お前 自分の子ども産まれたら仕事どころじゃねえな」

そう 長男の第一子も秒読み段階だ

きっとお前たちのように 明るくて元気な子が産まれるよ(^_^)v