2006年8月1日

「改革」と「改善」 Vol.2

「おはようございます!!!」
朝礼時、一人ずつ順番で近所に響き渡る?
くらいの声を張り上げて挨拶しよう

「はい!川崎会計事務所の○○です!」
電話を受けるときは自分の名前を名乗り
責任の所在を明らかにしよう

「わー どうして机の上に何もないんですか?」
(以前事務所見学にいらっしゃった同じTKC会員事務所の方々が
ウチの事務室を見て漏らした言葉です)
帰所時、外出時は机上に何も置かないようにしよう


<週2点改善提案>
これはこのコラムでも熱くご紹介申し上げた、映画『不撓不屈』の主人公
我らが飯塚毅先生が提唱された改善活動のための制度です。

「1年は50週、1週間に2点ずつの改善事項に真剣に取り組めば
1年で100項目の改善が図られることになる。 然らば
あなたの事務所は1年前とは見違えるほどの業務品質の向上を
実現することができますぞ!」

という理路整然としたコンセプトに基づいた、TKC会員事務所の人なら誰もが知っている(はずの)ノウハウです。

飯塚先生を師と仰ぐ我が川崎浩所長は、当然開業当初からこの「週2点改善事項」を導入し、事務所の改善活動として取組んできました。

私が入った頃は当番制で提案していましたが、当時所長を含めて4人しかいなかったので、毎月最低1回は2点ずつの改善提案をしなければならなかったわけで、これがなかなか・・・ネタを探すのが正直プレッシャーに感じる時期もありました。そして・・・

「姿勢を正す」
「あくびをしない」
「自宅で必ず勉強する」
「トイレはちゃんと流す・・・??」

今思えば、確かに苦し紛れに搾り出した改善事項もあったようですが、冒頭に紹介したように、現在でも事務所の特徴として定着している優れた改善事項も多々多々あることは言うまでもありません。

その後、この週2点を10年以上実践して(理論上は1000項目以上の改善を実施・・・あくまで理論上)、さすがにややマンネリの兆しが見え始めた頃
「週2点改善事項」を改善しようという提案が出され、平成7年から「週1点改善事項」として、学校のような注意しましょう的な提案ではなく、実質的な業務改善につながる提案を心がけましょうということになりました。その後平成12年に取得したISO9001の「予防処置」という規格とタイアップさせるかたちで「予防・改善提案事項」と名称を変え、現在は持ち回りの当番制ではなく、いつでも誰でも気付いたときに、事務所イントラネットの掲示板に投稿するという方法で、私が管理責任者となって継続しています。

事務所を見渡しながら思い返してみると、現在我々が実際業務で使用している各種報告書やチェックリスト、またファイルやOA機器といったハード的なものから、業務の手順や運用方法、また所内のルール、ビジネスマナーといったソフト的な部分まで、この改善活動によって提案検討され、導入、運用、定着してきたものばかりだなと、コラムを進めながら今さらながらに感心してしまいました。

そんな事務所の改善活動で先日ちょっとしたハプニングがありました。

毎月定例で行っている監査課会議で、監査課長が部下に向かって一喝
「これだけ言ってるのに何故改善提案が出てこないんだ!
いい加減バカにしてんのかって言いたくなるぞ!
(心の中では叫んでます『ふざけんなこのヤロー!』)」

実は内々のことでまことにお恥ずかしい話なのですが、この4月辺りから改善の提案件数が極端に減ってしまっていたのです。事実4月~6月の3ヶ月間で提案はたったの5件、内3件は監査課長からという有様でした。この状況を危惧していた彼は、毎月皆に向かってもっと提案するように呼びかけていたのですが、その反応の鈍さにとうとう堪忍袋の緒が切れたというわけです。

彼は更に続けました
「関与先がどうとか忙しいとかは別の話だ。事務所の業務品質を維持するために、絶対に改善を忘れてはいけない。改善は続けなきゃいけないんだ!」


改善活動を行う真の目的は、提案された内容云々の良し悪しではなく、組織の一員として常に問題意識を持って「動く・見る・聞く・話す」ことができる人間力の研鑽にあると思うのです。

今、あなたが目の前で携わっている業務。ルーティン化され、そういうものだと何の疑問も持たずに日常こなしていることって結構多くないですか?

本当にそれがもっとも効果的なやり方でしょうか・・・
本当にそれ自体必要不可欠な業務でしょうか・・・

単純に素朴な疑問を持つ力はありますか?

この力を私たちは『気づき』と呼んでいます。
組織における改善活動は、この『気づき』を培うための訓練なのです。
日常における『気づき』の訓練は、その意識が自分、仲間、顧客、業界、社会へと向く目を養います。
そしてそれは洞察力、分析力、先見力といったビジネスマンに必要な能力の培養へと発展していくのです。
『気づき』の能力の高い人材が集まる組織は確実に伸びます。

だから組織にとって『改善』を続ける意識こそが重要なのです。


同僚の私が言うのもなんですが、ウチの監査課長はかなり優秀です。
勿論今回も所長や私と打合せをして発破をかけたのではありません。
彼はこの改善活動の意味を分かっているから自ら訴えたのです。

彼が皆に本当に言いたかったことは
「思考を停止するな」
「問題意識を持て」
「気づきを発揮せよ」
だったのだと私は思っています。

皆さんの組織には改善のための仕組みはできあがっていますか?



<PS>
このコラムへのコメントが、なにやら面倒な登録をしなければ
できない設定になっていたようです。大変失礼いたしました。

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3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

改善って大事なんですね

匿名 さんのコメント...

「組織における改善活動は、この『気づき』を培うための訓練なのです。」という所長代理の指摘には恐れ入りました。気づきませんでした。

>「思考を停止するな」
>「問題意識を持て」
>「気づきを発揮せよ」

日常の業務の中で上記のような意識を持ってる人は必ず伸びると確信しています。

中田英寿選手は、高校時代、Jリーグ時代の毎日のパスの練習で、常に実戦を想定して、ひとつひとつのパスの出し方、キックの仕方、回転のさせ方を意識して取組んでいたそうです。ただ漫然と練習していた選手と、何千回、何万回を問題意識を持って取り組んだ選手とでは明確な差が出ますよね。

「どうすれば、もっと効率的に業務が行えるか」
「どうすれば、もっと顧客に喜んでいただけるか」
「どうすれば、もっと仕事にやりがいをもてるか」

常にそういったことを考えていられる、組織や会社でいたいと思います。

所長代理 さんのコメント...

(内々で手前みそな感じですが)今回主役の監査課長からのコメント公開させていただきました。

何しろ私の独断で書き込んでいるものですから、同僚といえども貴重なご意見として承りました。