2006年5月1日

持ち味 "own special ability"

このGW、サッカー命の次男(高2)の応援で北陸上越地方を延べ500km以上走行してきました。
それにしても近くなったものです。新潟の新発田市まで3時間ですよ!ホント信じられませんね。


新潟での試合を終えた夜、足を引きずりながら帰宅した息子が風呂から上がって「僕には何が足りない?」と焦点の合わない視線でポツリと呟きました。

県内では結構レベルが高く総勢約70名のサッカー部員を持つ私立高校にサッカーをするために進学し、そこで自身の集大成の時期に突入しようとしている彼は、現在Aチーム(ベンチ入25名)とBチームの狭間にいます。そんな高校なので同僚はほとんどが中学時代10番を背負っていたような能力の高いメンバー揃い、しかも彼のポジションは20名近くが登録する熾烈なFW、ベンチ入りを許されるのは4名(厳しい厳しい)
今回は何とか遠征メンバーに入り途中交代で後半出場したものの、少ないチャンスでアピールしようという焦りからか結果が出せず考え込んでしまったようです。


「お前の持ち味は何?」 暫く間をおいて逆に問いかけました。

「持ち味?・・・うーん・・・」 なかなか言葉が出てきません。

「トップ下をやっていたスポ小の時は『タッチのやわらかさ』だったよな? フォワードになった中学の時は『ポジショニングの良さ』だった。その時々でお前には周囲も認める持ち味があったはずだ。今はどんなプレーをしようとしてるのか、あるいはどんなプレーに自信を持ってるのかハッキリ見えてる?」

「・・・とにかくどんな形でもいいから・・・点をとるプレー・・・しようと・・・」

「お父さんはサッカーの指導者じゃないから専門的なことは分からないけど『これがオレの持ち味だ!』っていうプレーを常に追求している選手は確実に強いと思うよ。今日の試合みてても確かにみんな能力が高いのは分かる、ただ似たようなタイプのフォワードばっかりに見えるんだ。もしみんなが同じプレースタイルだったらより速くてより上手い奴ってことになるだろう?でも、それで本当に強いチームになるかどうかは疑問だな。しかもお前はその速さや上手さで連中に勝たなきゃいけないと思ってるんじゃないか?」

「・・・・・・」

「お父さんたちの仕事の世界でも同じだよ。例えばたくさんの会計事務所の中からお客さんは何かを基準にしてお付き合いする事務所を選ぶわけだ。もしどこも似たような仕事をしていたら、より安いとかより簡単なんて基準で選ぶことになる。そんな基準で選ばれる事務所は残念ながら交代要員がいくらでもいるBチームの会計事務所なんだよ。逆に『ウチはこの分野では絶対に負けません!』っていう持ち味があれば、それを必要とするお客さんがきっと選んでくれる。当然こちらもいい加減な仕事はできないから常に精進して更に力を伸ばす努力をする。そうすればそのお客さんにとってなくてならないAチームの会計事務所になる。スマップの歌じゃないけど“ナンバーワン”じゃなくて“オンリーワン”になることがほんとに大事なんだよ。
今のお前は目先の結果に捉われてその大事なトコロを見失ってるような気がする。今年1年、お前にしかできないお前らしいプレーを追っかけてみたらどうだ。そしてその自分の持ち味がはっきりしたらそれを磨くための鍛錬を徹底的にやってみろ。そうすればお前はきっとチームにとって必要な存在になるはずだ!お父さんはそう思う・・・ どうだ?」

「・・・お父さん・・・腹へった・・・」 

「おーおーわりーな! いつも話が長くて!」

どんぶり飯2杯をたいらげた息子は「おやすみ!」と力のある視線で一言いって2階に上がって行きました。

目が死んでたのは腹がへってたせいかい! ま、いいか・・・
ガンバレ! ガンバレ!

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