2017年8月26日

城を持つ

「父さん オレそろそろ家建てようと思うんだ」

4歳と2歳の子ども二人を養う28歳になる次男夫婦から相談を受けた。数年前から早く自分の家を持ちたいと言っていた息子に対し私は「夫婦で300万円貯めてから相談に来なさい」と諭していたので話があると電話が入ったときおそらくそのことだろうと思っていた。

「300万円貯金できたのか?」

「うん 貯めたよ!」

「そうか よく頑張ったな…お前たちの間ではもうある程度目星つけてる物件があるんだろ?」

自分の家を持つことが次男夫婦の夢なので、おそらく二人で必死に情報収集していただろうことは聞かずとも分かった。

「うん 仕事のお客さんでお世話になってる工務店の社長さんがウチの条件に合う土地を紹介してくれてその土地に家を建てて、当初半年間だけモデルルームとして使わせてもらえれば、その分建築費を割引きするって話なんだ」

「まあよくあるケースだけど、その工務店が信用できる会社なのか、割引前の住宅の建築費とその土地の売買価格が妥当なのかはしっかりリサーチしないといけないな。あと大事なのは、おそらく35年の住宅ローンを組むことになるから、お前の家族の生活をキープした状態で返済ができるかどうかだ。特に今後子どもにいくらお金がかかるかを見据えて考えないとな。とにかく人生で一番大きな買い物をするんだから、自分一人で判断しないで重要なことを決めるときは必ずお父さんに相談しなさい」

「はい!」

こいつが家を建てる歳になったかと何とも不思議な感覚を抱きつつ、少し緊張した表情を緩ませ、いつものとぼけた顔で母親と談笑する息子を暫し眺めていた。




 
 
私が自宅を持ったのは今から24年前、34歳の時でした。と言っても、私の場合は家内の実家の敷地に、家内の親戚が営む工務店でリーズナブルな価格で建てさせてもらったので、家のデザインから間取りまですべて家内任せの建物で、私はその借金をただただ返してきただけです…(笑)

 
以前このブログでも紹介しましたが、次男は諏訪市にご実家のある三人姉妹の長女と結婚し、当初から嫁の実家の近くに住居を構え、行く行くは先方のご両親の面倒を見るつもりでいます。

28歳という若さで大きな借金を抱えて本当に大丈夫なんだろうかと親としては多少心配ではありますが、現代の夫婦生活や社会、金融状況の変化を考慮すると、いずれ自宅を持たなければならないのであれば早いに越したことはないというのが私ら親子の一致した考えです。

もちろん私もただ「頑張れよ~」なんて指をくわえてるわけではありません。家内の父親が私にそうしてくれたように、私も父親として息子に対してできる限りの経済的支援はするつもりです。


現在、自己が住宅を持つときに親から受ける経済的支援に対して、税制面でも各種の優遇措置が規定されています。最も代表的な措置が「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度」でしょう。

これは平成28年1月1日~平成32年3月末までに、父母や祖父母など直系尊属から自己の居住用の家屋(家屋とともに取得する敷地を含みます)の新築、購入又は増改築などの対価に充てるためのお金を贈与された場合、その額が700万円(省エネ等住宅は1,200万円)までは贈与税が免除される特例です。



但し、この特例を適用するには次のような要件をクリアした上で、贈与を受けた翌年2月16日~3月15日までの間に贈与税の申告をする必要があります。

1.受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
2.贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
3.平成26年分までに「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。
4.自己の親族など特別な関係がある人から取得する家屋等ではないこと。
5.贈与を受けた年の翌年3月15日までに受贈資金全額を充てて家屋の新築等をし居住すること。  
6.新築等した家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
(この他にもいくつか要件がありますので、詳しくは事務所までお問い合わせ下さい)


息子がどんな家を建てるのか細かいことはこれからですが、まさしく一国一城の主となって自分の家族をしっかり守り、幸せな家庭を築いてくれることを願うばかりです。







0 件のコメント: