「お父さん 確定申告ってやったことないけど
オレは何もしなくていいのかな...」
思わずコケそうになることを息子が呟いた
「お前 この期に及んで何を言ってるの?」
今年25歳になる会計事務所所長代理の息子が今さら何…
「てか そもそも確定申告って…なに?」
ちょっと待ってよお兄さん そもそも…ってなんですの
新婚さんいらっしゃいの桂文枝師匠よろしく
私は椅子ごと転がり落ちるほどの衝撃を受けたのだった
私ら会計事務所は毎年2月~3月が所得税確定申告業務の最繁忙期となります。
確定申告という言葉は社会人であれば一度は聞いたことがあると思いますが、特にウチの息子のように、お給料だけで生計を立てているサラリーマンの場合、それが一体何をするものなのか、どのような手続きで誰がしなければならないかなどご存じない方が結構いらっしゃるようです。
現在只中にある所得税の確定申告とは毎年2月16日~3月15日の期間中に、個人が自身の前年一年間の儲け(所得)に対して公平に負担すべき税金(所得税)を計算し、その税額を国に申告して納付する手続です。
一口に所得税といっても、一個人の儲け(所得)には多様な種類があって、所得税法という法律ではその所得を次の10種類に区分しています。そして原則としてこれらの所得の合計額が38万円を超える場合は、基本的に確定申告をする義務が生じます。
その10種類の所得とは…
自営業と称される個人商店などの事業や農業などから生じる儲け(事業所得)
アパートや貸家、貸地などの賃貸料収入から生じる儲け(不動産所得)
預貯金の額に応じて銀行等から受け取る利息収入(利子所得)
株式など保有する有価証券に対して支払われる配当金(配当所得)
サラリーマンの皆さんが受給するお給料(給与所得)
不動産や有価証券、事業用の動産などを売った場合に生じる儲け(譲渡所得)
生命保険や損害保険などの満期保険金や競馬、競艇などの儲け(一時所得)
公的年金や個人年金の収入、講師料、原稿料、太陽光売電収入など(雑所得)
山林を伐採して売ったり立木を売ったときの儲け(山林所得)
退職金、退職手当など(退職所得)
基本的に確定申告すると表現しましたが、これらの所得があってもその金額や課税の方式から申告しなくても構わない場合もあります。細かい規定がたくさんあって、とてもすべてを紹介することはできないのでここでは割愛しますが、何かお知りになりたいことがあればお気軽にご相談下さい。
一つだけ、何も知らない息子のためにもお知らせしておきたいと思います。
ウチの息子のように一ヶ所からの給与だけを受給しているサラリーマンは、その給与支払者が年末調整という手続で所得税を精算してくれるので、通常は確定申告する義務はありません。しかし、その給与所得以外の所得が20万円超あれば確定申告しなければなりません。
逆に言うと一ヶ所からの給与所得しかないサラリーマンは、その給与以外の何らかの所得が生じても、その合計額が20万円以下であれば申告しなくていいということです。
ただ注意しなければならないのは、この規定はもともと確定申告を要しない給与所得者にのみ適用されるものなので、例えばその人が、年末調整で確定精算された所得税の還付を受けるために、医療費控除や住宅取得控除を使って確定申告するような場合は、給与以外の所得が20万円以下であってもその所得を含めて申告しなければなりません。
そして最近その給与以外の所得で増えているのが太陽光発電の売電収入です。
2012年7月に余剰電力の固定価格買い取り制度が始まってから、一般住宅でも太陽光発電装置の設置が増加し、発電された電力のうち自家消費する電力の余剰分を電力会社が買い取る形態が通常となりました。
この売電収入が確定申告の対象となる雑所得に該当するということで、給与所得しかないサラリーマンであっても、自宅の屋根に太陽光発電装置が乗っていて、売電による利益(売電収入から減価償却費等の必要経費を差し引いた金額)が20万円を超えていれば確定申告しなければなりません。
また、言うまでもなく、もともと確定申告義務のある人で売電収入がある場合は、その金額に関わらず他の所得と併せて申告する必要があります。
最近の新築住宅は太陽光発電装置が当然のように設置されるお宅が増えています。その場合余剰電力の売電も当然のように行われるので、今後ますます確定申告の対象となる方は増加するものと思われます。
売電による所得の算出は面倒な計算を伴う場合も多いので、気になる方はいつでもお気軽にお声かけ下さい。
「…ってことは オレは確定申告関係ないんだね」
「ああ 何もなければな…ただこれからは子どもが
医者にかかることも多くなるだろうから医療費の
領収書は捨てないでとっといた方がいいぞ」
「医療費の領収書…? それって何に使うの?」
「…お、おお また今度ゆっくり話すわ」
まだまだ先は長そうだ
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