「・・・おお また一気に読んじゃったな~」
「相当はまってるよね そんなにおもしろい?」
「ああ 文章のテンポが小気味よくて つい入り込んじゃうな」
「あたしも読むから 次 貸してね・・・」
「君には多少難解な言葉が多いかもしれぬが 頭をひねってしっかり読みたまえ」
「おたくは“栗原一止”かい!」
昨年発刊された初版が36万部突破のベストセラー、今年、全国の書店が選ぶ2010年本屋大賞で第2位に輝いた「神様のカルテ」。すでにお読みになった方も多いと思うが、地元信州松本の大学病院に勤務する現役医師、夏川草介原作の秀作である。
今月、その続編「神様のカルテ2」が発刊されたとあって、初版ですっかりファンになっていた私は、早速近所の本屋へ跳んでいって調達し、その日のうちに読み切ってしまったという件である。
この物語は、松本市の本庄病院という地域医療の一端を担うそこそこ規模のある病院に勤務する内科医・栗原一止(くりはらいちと)が、多忙を極める地方病院の日常で、多くの患者や病院スタッフ、そして同じアパートの住人や山岳写真家である愛妻ハル(栗原榛名)との数々のふれあいを通して、本物の医師とは何ぞやという命題に真正面から向き合い、悩みながらも徐々にその真意を掴んでいく過程を綴った小説である。
読んでいて心地のいい巧みな文章表現と、クラシックで豊富なボキャブラリー、そして何より文中に登場する風景やらお店やらが、よく知る地元の実在するものであることが、脳裏に映し出す情景の現実感をより鮮明にしてくれるので、カミさんに言われるまでもなく、私はすっかりはまっていたのである。
ストーリーのメイン舞台となっている本庄病院は、実際は松本市本庄に所在する相澤病院という地元市民なら誰もが知っている中堅の総合病院だ。
実はこの病院とウチとはなぜか縁が深い。ウチの主治医というわけではないのだが、私が20歳のときに肺気胸を患って一週間ほど入院したのがこの病院であり、娘が4歳のとき交通事故に遭って救急車で緊急搬送され、右足骨折で約一月半の入院生活を送ったのもこの病院である。さらにその娘が高校3年のとき、帰宅途中自転車で交差点を渡っていたところを突っ込んできた車に接触され、大した怪我はなかったのだが、人生二度目の救急車で運ばれたのもやはりこの病院だった。
従って本庄病院、否相澤病院は、文中にも紹介される24時間365日対応という救急病院として、ウチにとっても非常に身近な存在なのである。
そんな「神様のカルテ」の映画化が決まり、来年秋頃に封切りされることになった。
実写版でこの物語を見ることができるというのは、地元の人間として、また一ファンとしても嬉しい限りである。すでに松本城や四柱神社、それに中信松本病院などで行ったという松本市内でのロケも終え、先月無事クランクアップしたそうである。
キャスティングもまた興味深い。主人公栗原一止に嵐の櫻井翔、妻のハルには宮崎あおいという、今をときめく超人気若手俳優の共演である。これは大ヒットすること間違いなし。ひょっとして日本アカデミー賞あたりに名を連ねる可能性もありそうだ。
主演の櫻井翔が、クランクインの1ヶ月以上前から深川監督や原作者の夏川草介と何度も話し合って役作りをしたり、実際に病院で医療の最前線を見学するなど、かなりの精力を注ぎ込んで完成させた作品だと報道されている。いずれにしても来秋の公開が本当に待ち遠しい。
映画「神様のカルテ」をきっかけに、来年は地元松本がきっとブレイクするぞ~と一人で興奮していたところに、今度は大河ドラマと並ぶNHKの顔、朝の連続テレビ小説で、安曇野と松本を舞台にした「おひさま」というドラマが来春放送されるというニュースが飛び込んできた。
この物語は戦争をはさんで日本人が生き抜いてきた昭和という激動の時代に、人々をその名の通り太陽のように明るい希望で照らした須藤陽子という一人の女性の一代記である。地元安曇野の清らかなわさび畑やそば畑、そして地元が誇る信州そばがストーリーの重要なエッセンスになっているそうである。
そしてまたこちらのキャスティングにも目を見張るものがある。通常ヒロインはオーデションが定番の連続テレビ小説には珍しく、今回のヒロイン陽子役には、多くの映画やドラマで活躍する売出し中の人気女優井上真央が一点買いで抜擢された。そして現代の陽子とドラマを通してのナレーションに若尾文子、陽子の姑母役には樋口可南子というソフトバンク犬のお父さんのCMコンビが共演(ってそれは関係ないか)、さらに地元まつもと市民芸術館の芸術監督、串田和美が陽子の姑父役で出演する。
サラリーマンの私らには、平日朝、昼の放映を視聴することはできないが、多くの固定ファンを持つ連続テレビ小説にこのキャストなので、こちらも全国区の人気ドラマになることを祈りたい。
長引く景気の低迷によって、なかなか活気が戻らない地域経済。そんな閉塞感漂う暗い状況が、メディアの影響力によって一変することも少なくない。
今年放映された同じNHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」の大ヒットにより、水木しげるの故郷鳥取県境港市の「水木しげるロード」には、この8月までに180万人近い観光客が訪れ、平成5年のオープン以来、現時点で既に年間最高を記録したそうである。同市観光協会では「ドラマ効果が想像以上に大きく、このままいくと今年は250万人を突破しそうな勢いだ」と伝えられている。
映画「神様のカルテ」連続テレビ小説「おひさま」、この信州を舞台とする二つのドラマによって、来年は明らかに信州ブレイクの予感がする。もちろんそれだけですべてが良くなるわけではないが、地元の活性化にとってチャンスであることは間違いない。
行政を中心として信州の良さを上手くアピールして、相乗的な経済効果を生み出し、地元に活気と元気を是非とも取り戻して欲しいものである。
「宮崎あおいはしっくりくるけど 櫻井翔ってどうよ?」
「ちょっといい男過ぎるかな・・・」
「だよね~ ちょっとイメージ違うよね~」
「でも今回はイメージ通りのそこそこの役者より 櫻井翔で全然OK!
老若男女を問わず とにかく思いっきり売れてもらいましょう!」
「おたくは配給会社かい!」
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