「ウチは何にもいいことないじゃん! 絶対不公平だよね~」
普段政治経済にはトンと興味を示さないカミさんが
珍しく新聞を読みながら愚痴った
「あ~『子ども手当』か・・・まあまあ とりあえずウチは影響ないけどね」
「エ~ だって中学生までの子がいれば月に26,000円もらえて
高校はタダになるんでしょ? 10年前ならウチは78,000円も貰えたんだよ~
でも今は何も貰えないって 影響大ありでしょ~」
いくら興味がないとはいえ
安売りチラシとお金の問題には敏感だ
「まあまあ ただ貰える訳じゃなくて その分税金も上がったりするけどね・・・」
「あ~それでもあの頃に戻りたい・・・ついでにあんたの体型もあの頃に戻らない?」
「って そっちかい!!」
法案通り実施できるかどうかはフタを開けてみなければ分かりませんが、いずれにしても民主党マニフェストの目玉政策である「子ども手当」と「公立高校無償化」が、この4月から段階的に実施されることになりました。
この政策に追随する形で所得税に関する税制改正も国会を通過し、年頃のお子さんを持つご家庭のライフプランに確実に大きな変化をもたらしそうです。
ちょっと政策の内容を税制と対応させて整理してみましょう
『子ども手当』
中学校修了までの子ども一人につき月額26,000円(今年度は13,000円)を支給する。親の所得制限なし(現行の児童手当はこの制度に吸収される=実質廃止)
子ども手当に伴う税制改正は・・・
平成23年分からこの年代(満16歳未満)の一般扶養控除(所得税38万円、住民税33万円)を適用除外とする。
『公立高校無償化』
公立高校に通う子ども一人につき授業料助成として年額118,800円(全国平均授業料月額9,900円×12ヶ月 都道府県によって多少差異あり)を国が負担する。(施設利用費やクラブ活動費はこれまで通り本人負担)
高校無償化に伴う税制改正は・・・
平成23年分からこの年代(16歳以上19歳未満)の特定扶養控除加算(所得税25万円、住民税12万円)を廃止して通常の扶養控除(所得税38万円、住民税33万円)のみ適用する。
現行の特定扶養控除とは、16歳以上23歳未満(高校生~大学生)の扶養家族一人について、一般の扶養控除に上記金額を加算した額(所得税63万円、住民税45万円)を所得控除額とするものです。
今回の改正後は、19歳以上23歳未満(大学生年代)の扶養家族についてのみ特定扶養控除が適用されます。
やたら数字が並んでしまい 申しわけありません。
さて、この政策はいずれも国費、要するに税金が充てられるわけなので、財源を確保するためには必然的に税制も追っかけていかないと政府としては絵に描いた餅になってしまうわけですね。そしてお金の問題なので、当然にそれぞれの家庭環境によって損得勘定が働きます。
ご自身の家庭がどうか興味のある方は、それぞれシミュレーションしていただくとして、私が思うに、各政策がもたらす課題というか、考慮しなければならない問題があるのでちょっとこの場を借りて提起しておきます。
まず『子ども手当』に関しては、現行の児童手当と違って親の所得制限がないので、扶養控除がなくなる分の増税を差し引いても、ほとんどの家庭で手取りのお金は増えそうです。
但し、これはあくまで貰う税金と払う税金だけの話です。
例えばサラリーマンのお給料には「家族手当」若しくは「扶養手当」などが支給されているケースが少なくありません。その会社独自の手当はどうなるのか・・・もちろん各企業によって対応は様々だと思いますが、とにかく『子ども手当』の支給が、企業の給与体系に影響を及ぼす可能性はかなり高い確率であると思います。国から手当を貰ってるんだから、16歳未満の扶養家族への給料としての「家族手当」はカットするなんてことも現実的に十分起こり得ることです。
『公立高校無償化』については、やはり特定扶養加算がなくなることによる増税分よりも、助成金額のほうが多いので、子どもが高校に行くことによる実質負担額は削減されそうです。
しかし、この政策には私学助成との調整という大きな課題があります。実はこれ今年の私のもう一つの顔であるPTA会長という立場から、自治体に対する陳情活動など、私自身先頭に立って取り組んできた問題でもあります。
現在のところ国は私立高校の生徒に対しても、公立高校と同額の一人118,800円を基準として授業料助成を実施すると公表しています。更に、私学の授業料が高額であることを考慮して、年収250万円~350万円までの家庭にはその1.5倍、年収250万円未満の家庭にはその2倍の額を助成するとしています。
ただ、それでも埋まらない公私較差を緩和するため、自治体にその財源の確保を求めることを前提として、その助成額については各都道府県の裁量に委ねることとしました。その結果、大阪や京都など、一定の所得制限はあるものの、実質的に私学授業料も限りなく無償に近づけるような助成を表明している自治体もある一方で、国費で助成するのであればと私学助成予算を削減しようとするふざけた自治体まで出ている始末です。
公私の授業料較差は通常1:4と言われます。これが公私同額の助成であれば0:3になるわけで、基本的にはこれまでと較差自体は変わらないのですが、0というイメージが与える影響力の大きさ、また各自治体によって助成制度に対する姿勢に温度差があるという現実が、公立高校への生徒の集中化を招くと同時に、私立高校の存続自体を脅かす大きな問題に発展することが十分懸念されます。
とにかくいずれも単なる損得勘定の問題ではないということは確かです。
そもそも今回の民主党の子ども政策は、少子化対策というバックボーンに基づいて捻り出されたものです。安心して子どもを儲け育てることができる社会の実現を目指しての政策であることを忘れてはなりません。
とはいうものの、政策自体に多くの問題を内包しながら、子どもを育てなければならない我々大人の雇用情勢も一向に好転しない状況の中で、それでも政策は進められ実施されます。
せめて、『子ども手当』はその趣旨の通り子どもの養育のために充てられるように、そして『公立高校無償化』が、才能ある子どもたちの平準化、平均化の温床とならないように祈りたいと思います。
「ウチも税金高くなるんじゃないの?」
「だからウチは娘が今年19になるから今までと変わらないの・・・
あっ ただ配偶者控除も近々廃止するって言ってるから
もしそうなったらたぶん6~7万は税金増えるわな・・・」
「やっぱり高くなるんじゃないー!!」
これに答えてると話が長くなるので 今回はこの辺で・・・
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