「お前おでこ絶対に5センチは上がったよね」
「そういうお前も立ったままじゃ自分のベルト見えないだろ」
「あれっ そんなに目尻の掘り深かったっけ~?」
「失礼ねぇ あごが退化した人に言われたくないわ!」
言い出せば切りがない
まあ無理もない・・・
たぶんもっとも張りのあった年頃に別離てから
ほとんどのメンバーと30年ぶりに再会するのだから・・・
でも不思議なもの・・・
顔を合わせた瞬間は「えっ誰だっけ・・・?」が
数分後には「ぜんぜん変わってないね~」になり
そしてあの頃と同じ毒舌が当り前のように飛び交う
なんなんだろうこの感覚は・・・完全にタイムスリップしてる
たった3年間机を並べていただけなのに
しかも皆何十年ぶりに会ったのに
本当におもしろいものだ・・・
今までほとんどやっていなかった高校の同級会を約30年ぶりに行いました。この辺りの高校は同期の卒業生が一堂に会する卒後30周年記念同窓会というイベントをどこでも開催するようですが、私らの母校でも毎年伝統的に行われています。今年私らの年代がちょうどその年周りになり、たまたま私がそのイベントのクラス代表になったので、一足先にクラス単位の同級会をやってみようと同級生に案内を出して召集してみたのです。
以前このコラム(07/11ゴタ小僧の今昔)でも触れましたが、私らの母校はクラスの垣根がほとんどなく、現役時代はどちらかというと部活や気の合う仲間との付き合いを優先するような風潮が強かったので、実は私らもクラスに関係なく当時の(悪い?)仲間達十人位で卒業した翌年に新年会と称して集まったのですが、それがいつの間にか総勢20人前後が集まる毎年1月2日の「亥子会(“いねかい”*亥年と子年の集まり*極めて単純)」という名称で定着し、それこそ卒後30年間一度も空けることなく現在も続いています。
私とカミさんはこの高校の同級生同士なので、亥子会の悪・・・いや素敵な仲間達とは皆共通の友人でもあり、この新年会には毎年二人で出席しており、今までクラス単位の同級会がなくてもさほど気にもしていませんでした。
従って逆にずっと会っていなかった同級生が急なお誘いにどの位集まってくれるのか、そして一体どんな風に変わっているのかが楽しみでもあり不安でもありました。
当時私らのクラスは総勢50名、そして今回の同級会に駆けつけてくれたのは14名でした。決して多くはありませんが、そのほとんどが本当に30年ぶりの再会となり、集まった一人一人とじっくり話しをするにはちょうどいい間合いだったような気がします。
冒頭の不思議な感覚は、先に紹介した仲間内の会で得られる雰囲気とはまったく異質のものでした。毎年顔を会わせる亥子会の連中は、これまでのそれぞれの人生の変遷をお互いによく知っているし、年一で会っているので一緒に歳を経てきたと言うか、一年一年を積み重ねてきた結果、今日の俺が、またお前がいるみたいな感覚、上手く表現できませんが、毎年一段ずつ上っている階段の踊り場で、一年に一度皆で向かい合って座ってみるかという進行形の感覚を私は持っています。
一方30年ぶりの同級会は、ほとんどのメンバーがパッと見誰か分からないほどのギャップがあるのですが、膝を交えて話しているうちに誰もがあの頃に戻っていくのです。体型や顔のしわや頭髪は間違いなく年輪を重ねて当然に変化してはいますが、瞳の輝きや声、そして話し方なんかが本当にあの頃に戻っていくのです。私はそんな皆と顔を突き合わせて話をしているうちに、当時の教室で向かい合っているような錯覚さえ覚え、話をしている相手に応じて当時の色んなシーンが蘇ってきて、本当にタイムスリップしているような心地よさを感じました。これは私にとってはまったく意外な想定外の感覚、しかし鳥肌が立つような嬉しい経験となりました。
人気テレビドラマ「ごくせん」で、大江戸一家親分役の宇津井建が、孫娘ヤンクミ役の仲間由紀江を諭しながら放った台詞を思い出しました。
「生徒さん方にとって高校時代の1年っていうのは、大人にしたら5~6年分の価値があるんじゃねぇのかな・・・」
私もそう思います。心身ともに最高の成長期である高校時代。新しく覚えること、感じることだらけの毎日を過ごしながら確実に成長していきます。ときには時間を忘れるほど何かに打ち込んだり、バカと言われるほど誰かを好きになったり、周囲に止められるようなことにも真剣になって無茶したりヤンチャしたり・・・そして迷い、悩み、葛藤を繰り返すそんな素の時間を共有する仲間がいつも一緒にいる。おそろしく濃密な期間をお互いが無意識のうちに過ごしていたのではないでしょうか。
人生半ばを過ぎて、色んなことを計算しながらこなす寂しい大人になっている自分に気付きを与えてくれ、また自分にもバカが付くほど素敵な時代があったことを仲間達が思い出させてくれます。
この会の終わりに、私は万年幹事を買って出て「これから毎年やるからなー!」と宣言しました。因みに中学の同級会も毎年1月に行っており、こちらも私が万年幹事になって次回で6年目になります(何だかんだ言ってこういうことが好きなんでしょうね)。
毎回50通近い往復ハガキの案内状を出していますが、1~2日で「喜んで出席します」と返信してくれる人もいれば、まったく返信してくれない人もいます。それぞれの環境や事情そして思いがあるので、この温度差は仕方ないと考えていますが、これからも誰かれ区別せずに出し続けていくつもりです。
それは、私が学生時代の仲間との縁、そして彼らと過ごした時間、空間そのものがかけがいのない財産だと思っているからです。だからこれからも自分の中で大事にしていきたい縁であり、私が動くことでこれが継続するのであれば、喜んでそうして行こうと思っています。
「明けましてオメデトウー!」
コラムを進めている間に年を越してしまった
皆さん本年もどうぞヨロシクお願いします!
「お前も高校最後だね・・・進路も本気で考えなきゃね」
年越しソバを喰いながらカミさんが娘に声をかけた
「新年早々またその話か~い ♪♪」
お笑い大好き、吉本も選択肢の一つと嘯く娘がかわす
「まあ進路も大事だけど、今の仲間と一緒に過ごせるのも
今年が最後だ。思い残すことのない充実した1年にしなさい」
「そのつもりダス!」
ハイテンションなのはお猪口一杯のおとそが効いたか?
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