昨今、街角からは珈琲のおいしい喫茶店が次々と姿を消し
気がつけばファミレスやファーストフードのチェーン店が
あちこちで「いらっしゃいませ!○○へようこそ!」と
引きそうな明るさと気軽さを武器に年中無休で営業しています
私等の学生の頃には、それこそあちこちに個性的で
こだわりのある通称「サ店」がたくさん存在していました
仲間とたむろするときも、彼女とデートするときも
まずはいつものサ店で待ち合わせ・・・
インベーダーにブロック崩し、はたまたポーカーゲームで
生活指導の先生にお縄・・・(って私のことではありませんよ)
なんてのがよくあるパターンでしたよね?
それにちょっと郊外には隠れ家的なサ店も結構ありました
裏に駐車場、停まってる車を隠すほどの大きな木
山と積まれたマンガ本、そして可愛いバイトの女の子・・・
(だから私のことではありませんって!)
ブランチタイムの営業マンの憩いの場でしたよね??
そんな洒落たお店が姿を消してしまうのは
なじみが何軒もあった私(結局俺かい!)としては実に寂しい限りです・・・
さて、前回で完結するつもりだったテーマなのですが、「改革」も重要だろう!というご指摘を頂戴したこともあり、やはり「改革」と「改善」と謳った以上、今回はその「改革」についても私なりに考えてみようと思います。
「改善」も「改革」も勿論どちらも重要で、どっちが上位とか本来比較できるものではありません。ただ前回も述べたとおり「改善」の本質は内部の人々の心の問題で、どちらかと言えばソフトの部分の見直しが主体であると思いますが、「改革」はその組織自体や経営資源(ひと・もの・カネ・情報など)といったハード部分の再構築が主体になるものなので、目的から捉えるとかなり明確に区分されると思います。
日本経団連の奥田碩会長は「経営改革とは一言でいうと競争力の強化である」と表現されています。さらに経営改革を実現するためには「組織を再編し、経営資源を高収益部門に効率的且つ重点的に投入することが重要」と説かれています。
また「改革」というと最近すぐ頭に浮かぶのが日産自動車のカルロス・ゴーン氏ですが、氏のように企業再建をかけて、いたみを伴う大改革を実行しなければならない場合も企業経営にはあります。
いずれにしても事業の根幹部分を再構築するという面で、「改革」は事業の永続的な発展をかけて臨む非常に重要な手段であることは間違いありません。
喫茶店が商売を続けられなくなった本当の原因は何でしょう?
それはファミレスやファーストフードといった同業種競合店の出現ではないと思います。時代とともに劇的に変化してきた一般消費者の生活環境が、喫茶店という業態の存在価値を必要としなくなったからではないでしょうか。
世に言う「消費者ニーズの変化」ということです。
おいしい珈琲は家庭でも手軽に味わうことができるようになりました。
モーニングやランチもコンビニやほか弁で十分という時代です。
喫茶店のみならず飲食業全般に言えることですが、以前は飲食専門店でしか得ることができなかった商品やサービスが、違う業種のお店から気軽にリーズナブルにいくらでも手に入る時代になってしまったのです。
私が飲食に携わっていた頃は、従業員にしっかりとした接遇マナーを教育し、掃除の行き届いた清潔で明るい雰囲気を維持して、常連さんを飽きさせないようにメニュー構成(勿論提供するメニューはそこそこいけてるのは当然です)を適宜変更してイメージアップを図る。そんな顧客の立場で常に内部の「改善」に努めていれば競合店に負けることなくある程度は繁盛したものです。
しかし飲食業界ではもう何年も前から「改善」だけでは対応しきれない消費者ニーズの変化が生じていたのです。
そう、その時必要だったのは「改善」ではなく「改革」であり、ある意味いち早くその「改革」に着手してできあがった業態がコーヒー、ライスお代わり自由のファミレスや、24時間年中無休のファーストフード店なのです。
明らかに言えることは、事業経営にとって「改善」は日常的に行うべきものですが、「改革」は機を逃してはならないということです。さらに言えば、日常継続的に「改善」に対する問題意識を持っていなければ、本当に「改革」をしなければならない機を捉える先見力や洞察力といった能力は育まれないのではないかと思うのです。
「改革」には新たな資金やいたみを伴う場合もあります。誰でもどんなことでもできるというわけではありません。従って厳しいですが撤退という「改革」があるのも事実です。いずれにしても機を逃さず、ニーズの変化に対応すべく保有する経営資源を分析して、今できることは何かを綿密に計画し、決定すれば大胆に実行すること、それが「改革」のキーワードではないでしょうか。
「改革」が必要なときにメニューのみを「改善」して業績回復を図ろうとする経営者の方が、実は結構多いことを現場の第一線で業務に当たる会計事務所職員はよく知っているはずです。
そんなとき私たちは経営を支援する立場として、それだけでは何ら状況は変わらないことを明確に進言できる力を身に付けておきたいものです。
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