2013年8月31日

本当に必要な支援とは

「サラリーマンが日曜に研修って…ホントなの~?」

晩酌中にニヤニヤしながらカミさんが囁きかけてきた

「ホントって ど、どういうことだよ」

やましいことは何もないのだが 何故か態度と表情がぎこちない

「研修とか言って ホントは誰かとどっか遊びに行ってたりして~?」

「オマエねぇ 二十代三十代の若僧じゃあるまいし…
今さらそんな元気はありませんよ 何なら一緒についてくる?」

「アハハハ じょうだん じょうだん(笑)
でも日曜はね やっぱりあなたにいて欲しいのよ」

何だ たまには可愛いことを言うじゃないか(微)

「ウチの仕事をやってくれる人がいないと困るのよ」

「そっちか~~い!!」

品行方正なダンナをつかまえて まったく失敬なカミさんである(泣)



8月25日~26日の日曜、月曜の二日間に亘って、長野市で開催された「経営革新等認定支援機関向け『経営改善・事業再生』研修会」に出席してきました。

今からちょうど一年前の平成24年8月30日「中小企業経営力強化支援法」という法律が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。

この認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定の基準を満たす個人、法人等の事業者を、経営革新等支援機関として国が認定することにより、 中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するために制定されたものです。



現在、各地の商工会、金融機関、民間コンサル会社、そして我々のような会計事務所など、既に一万社近い事業所が支援機関として認定されています。


今年3月の中小企業金融円滑化法の終了を受け、円滑化法を適用して事業資金の新規融資や既存借入金の返済条件変更(リスケジューリング、通常「リスケ」と言われます)などを受けた中小企業に対して、もし各金融機関が円滑化法終了に伴って貸し渋りや貸し剥がしを行うようなことがあれば、中小企業の倒産件数が急激に増加する可能性があるため、そのような混乱を招くことがないように、金融支援の継続と中小企業の経営改善を全面的にバックアップするために設置されたものです。

国(内閣府、中小企業庁、金融庁)は金融円滑化法の期限到来に当たり、各金融機関に円滑化法終了後も引き続き中小企業の経営支援を強化するよう促しました。

しかし、現在大人気のTBS系ドラマ「半沢直樹」のように、一金融機関の融資課長が傾きかけている一企業の再建にすべてを投げ出して取り組むなどというのは現実にはかなりハードルの高いことで、このドラマ自体は堺雅人の眼光鋭い表情を見ているだけでもとてもおもしろいのですが、そこはあくまでフィクションの世界の話しです。

そこで現実の社会では、金融機関だけに中小企業の経営支援を託すのは荷が重いので、他の認定機関と連携して経営改善計画書を策定する体制を構築するとともに、その改善計画に合致したリスケ等の金融支援を実施することを求めています。

また、実際に自社の経営を改善し、なおかつ金融支援を受けるための5年から10年に亘る中期経営計画を、金融機関並びに認定支援機関の協力を受けながら策定するということは、それなりの費用と時間がかかるのも言うまでもありません。

そこで国は、その改善計画策定にかかる費用の3分の2(上限200万円)を補助する施策も打ち出しています。


今回の研修は、この支援機関としての経営改善計画書の策定方法、そして単に計画書の作成に留まらず、支援企業のその後の経営状況のモニタリング方法などのノウハウを学ぶものでした。

業種がら、私らは経営計画の数値目標を整合性をとりつつ積み上げることは、元となるデータや情報さえあればさほど苦もなく策定することはできます。

ただ、この仕事を長くやればやるほど、単なる数字の帳尻合わせが何の役にも立たないことを強く感じるのも事実です。

机上の空論といえるような現実から離れた理想的な数字を何の根拠も持たずに積み上げ、例えば金融機関の心証を良くするためだけの計画を立てたところで、言うまでもなく実際の経営には何の成果ももたらしません。

ウチの事務所がこの経営革新等認定支援機関の認定を受けたのは昨年12月のことですが、現在まで当事務所のクライアントはもちろん、連携すべき金融機関等からも経営改善計画書の策定依頼を受けたことはなく、今回の研修などでご一緒する他の支援機関の方々との情報交換でも、実際に経営改善計画書を策定したという事例は身近なところではほとんど聞きません。確かにこれだけボリュームのある経営改善計画書を策定するとなると、中小企業と謳ってはいるものの、それなりの規模を持つ企業でないと厳しいのかなと正直思います。

金融機関が会計事務所や商工会など他の機関と連携して中小企業の経営改善の支援をするというコンセプトはとても画期的で素晴らしい政策だと思います。しかし、それがある一定以上の事業規模を持つ企業だけしか対象にならないとしたら何とも残念なことです。

この仕事に携わる者としては、更に小規模の事業者が活用できる簡易で業績向上に直結するような金融支援や、取り組みやすい政策が実施されることを願います。




「本当の支援って何だろね…」

「まあ その字の通り 支えて応援するってことじゃない?」

「応援…だけじゃダメなんだよな
誰かのために尽力して ホントに助けて初めて支援だよ」

「また~ 難しいこと言わないでよ」

「難しくないよ あの大震災から支援支援って簡単に使い過ぎなんだ
そんなに軽く口にできない言葉だよ」

「あら 今回はえらく真面目なのね」

「いつも冗談ばっか言ってられないだろ」

「それだけ熱弁するところが ますます怪しい??」

「おいおい・・・( ̄▽ ̄;)」


2013年8月3日

地元の夏祭り

「今年でもう39回目なんだってね」

「そうか 確かオレらが高一の時からだったもんな」

「昔はよく踊ったもんだわ」

「ああ お前は会社で出てたからな
オレは夜仕事してたから結局踊る機会なかったなぁ」




『ぼんぼん♪ 松本ぼんぼんぼん♪』というオリジナル曲に合わせ、市内の企業やら学校のクラスやら各種サークルの仲間などなど、今や200以上のグループが「連」と呼ばれる単位で参加して市街地を踊りながら練り歩く夏祭り『松本ぼんぼん』。

連の踊り手は総勢2万人、その見物人は松本市の人口24万人に迫る勢いの20万人以上という当地の一大イベントとなっています。

聞くところによると、地元ケーブルテレビ「テレビ松本」では、毎年松本ぼんぼんを最初から最後まで生中継してますが、この番組をちょっとでも見るという人の視聴率は何と80%以上で、私の大好きな夏の甲子園よりも人気があるという話です。

ウチもそうですが、おそらく踊ってる知り合いがテレビに映るかもしれないと期待してついつい観てしまうんでしょうね。


昭和50年「アルプスの里・歴史を偲ぶ城下町に 響かせよう松本ぼんぼんの歌と踊りを!」をテーマに始まったこの夏祭りは、年々盛り上がりを見せ、踊り手となる連の数も増え、練り歩くコースも徐々に広がっているそうです。

そして松本ぼんぼんの踊りは「見せる踊り」として振付けが決まっており、本来は飲酒しながら踊ってはいけないというルールもあり、これに違反すると(見つかると?)イエローカードが出され、サッカー同様2枚でその連は退場になるということです。


そんな由緒正しい?盛大な楽しい夏祭りであるはずの松本ぼんぼんですが、私はかれこれ10年以上出かけることはありません。

最後に松ぼんを見物に行ったのは、先日結婚したウチの長男が小学校低学年の時だったと記憶していますが、そのとき、踊っているのかどうかも分からない、ただダラダラと歩いている連をかなり多く目の当たりにしたのが原因です。

私の眼にはその見るに堪えない光景が殊更虚しく映り、「何だこれ? こんなの祭りじゃないだろ…」と印象付けられてしまったのです。


皆さんもよくご存じだと思いますが、日本には毎年6月に北海道札幌の大通公園で開催される『YOSAKOIソーラン祭り』や、これまた毎年お盆に開催され、海外からも数多くの見物人が訪れるという世界的に有名な徳島の『阿波踊り』があります。

比べるには規模があまりに違うだろと思われるかもしれませんが、YOSAKOIや阿波踊りがどうして毎年百万人以上もの見物客を魅了し続けるのかは、言うまでもなくあの真剣でキレのある踊りにあるわけです。

独自のコンテスト形式で、祭りというより大会といった方がいいかもしれないYOSAKOIソーラン祭りは、ここ数年3万人以上の踊り手がエントリーすると言いますが、その歴史は松ぼんよりも浅く今年で22回目とのことです。

しかし、あの若者達の躍動感と一体感あふれる激しい踊りは、全国ネットのテレビ中継はもちろん、大会後は公式DVDまで販売されるという人気ぶりです。

一方、阿波踊りは400年以上の歴史があり、徳島県内の学校では体育祭や運動会などの演目として採用している学校も多く、地域のほとんどの住民は、学校の授業で阿波踊りを覚えるのだと言います。

最近では本場徳島のみならず、関東、関西に限らず、日本各地で夏の盆踊りとして阿波踊りを採用する地域が増えているとのことです。

松ぼんの本当の振りを習ったことがある人はお分かりだと思いますが、正調松本ぼんぼんは相当きつい踊りです。しかし、それだけにビシッと統率をとって踊れば、相当にカッコいい踊りでもあります。

もちろん毎年しっかりと、正調松本ぼんぼんを踊っている連が相当数あることも知っています。


皆が疲れ果てるまで何度も何度も踊り続けるという運営にも疑問を感じますが、「見せるための踊り」と位置付けて始めた以上、参加した人がただ楽しめばいいというスタンスは容認せず、すべての連が、皆、腰を落として正調松本ぼんぼんをビシッと揃って踊ったら、とてもカッコいい夏祭りになるのにと思っているのは私だけでしょうか…



「あ~あ 踊らないなら出なきゃいいのにね」

「これじゃあ今に見物客もいなくなっちまうな…」

「って言いながらテレビ見てる私たちも何だかなって?」

「だな ごちゃごちゃ言ってねぇでお前が踊れってことだ(笑)」