2009年10月31日

経営方針

「お父さん! 専門学校に行かせて下さい!」

「・・・そこで何の勉強をしたいの?」

「わたし 映画関係の仕事がしたくて・・・」

「お前・・・まさか役者になるの?」

「ち、違う違う!・・・裏方の・・・セット創ったりとか・・・」

「そうか・・・まあお父さん達が納得できるようにしっかり説明しなさい・・・」

「はい・・・」


来春高校を卒業する長女の進路もそろそろ決定する時期になりました。

ウチの子どもたちはカミさんのコントロールが上手いのか、進路、就職の話なんかはもちろんのこと、学校生活や友達、恋愛に関しても、本当に大事な話はみな直接私に向かって話をしてくれます。

皆さんのご家庭ではいかがですか、お子さんは本当に大切な話を大黒柱であるお父さんにまず相談されていますか?

これって家庭にとっては結構重要なことだと私は思います。

今日のスケジュールがどうとかは、毎日食事の支度や身の回りを見ている母親が知っていればいいことですが、自分の人生や生活に対する方向性や方針などを判断し、決定しなければならない事柄は、やはり家庭ではまず父親に相談できる環境を、父親自身が懐深く確保してあげたいものです。

ところが、忙しがってなかなか子どもの話を聞いてくれないとか、そもそも子どもの教育は母親の仕事だと居直っているとか、カミさんの主婦仲間からは父親と子どもとのコミュニケーションの希薄さに悩んでいる家庭が多いという話をよく聞かされます。

そして実はこれビジネスの世界に置き換えてもセオリーなんですね。

会社の営業や販促などは、取引先企業の決定権を持つトップや長に対して話をしないと意味が無いと言われますが至極当然のことです。少なからずその判断によって会社の盛衰が左右されたり、将来の方向性に影響を及ぼす話であればなおさら、企業のトップ、経営者へのアプローチが絶対的に必要になります。

そしてこれは私ども会計事務所という職域の人間にとっても、最も認識し実践していかなければならないことでもあるのです。


11月、新事業年度を迎えた私ども川崎会計事務所は、当期の経営方針として『経営監査の実践』を掲げました。経営監査とは当事務所の造語ですが、要するに「経営者との面談をポジティブに実践する」ということです。

皆さんの意識の中には、会計事務所というのは企業の帳簿付けと税金計算の手助けをする仕事というイメージが定着しているのではないかと思います。

それはそれで私どもの重要な仕事の一部ではありますが、現在の企業経営者の皆さんの会計事務所に対する第一のニーズとは、ご自身の事業経営に対する後方支援なのではないでしょうか。

時に経営に関する意思決定のサポートであり
時に将来に向けての方針へのアドバイスであり
時に「やりましょう!」という応援ではないかと思うのです。


私どもは今年度、得意先事業経営者の皆さんと「もっとコミュニケーションする」を目標に、具体的な方策も準備して取り組んで行きます。従って、巡回に来ても経営者と全然話をしないなんてスタッフがいたら(そんな奴はいる筈ないですが)遠慮なく張りっ倒してやって下さい。

ただ、皆さんにもご協力頂かなければならないことがあります。

まずは経営者の皆さん、私どもが伺うときは必ずそこに居て下さい。
30分でも結構です。私どもは今後巡回に伺ってすぐに帳簿をチェックするなんて無粋なことはいたしません。まず現在の業績をきっちり説明させていただき、経営者の皆さんの考えや思いを精一杯聴かせていただきます。

そしてもう一つ、『経営監査の実践』は皆さんの経理レベルが一定水準以上であることが前提です。これがクリアされなければ、これをクリアするために、私どもは相変わらず現金を合わせて下さいとか、科目が違うだのという古典的な「記帳指導」という業務に時間を費やさなければなりません。

正確な経理処理が当然にできていることが前提で、その正確なデータを経営者がきっちり読むことができて、その数字に基づいてスピーディな意思決定ができなければ、企業として生き残ることが難しい時代が既に到来しています。

今、売掛金残高はいくらあるのか・・・2ヶ月以上滞留している先は?
今、たな卸資産はいくらあるのか・・・不良在庫の有無は?
今、借入金残高はいくらあるのか・・・月々の返済元金はいくら?

経営者ならせめてこれくらいのことは知っていたいところです。
そして私たちはこれらを知っていただくための時間を必ず持ちます。

だからこそ、今年度の経営方針を『経営監査』としたのです。


川崎会計事務所も皆様に支えられて今年度開業30周年を迎えることができました。
(来年の今頃は30周年記念を何らかの形でやりたいと画策しております・・・)

正直言って所長を初め職員も・・・すっごい歳とりました。

だからこそ皆純粋にもっといい仕事がしたいと強く思っています。

綺麗ごとだけでは喰っていけない経済情勢であることは、私どもより経営者の皆さんが一番実感されていると思います。
そんな皆さんの思いを共有させていただくという姿勢を忘れずに、前述した事務所の方針を常に意識しつつ、今年度も徹底的にお付き合いしていくつもりでおりますので相変わらずよろしくお願いいたします。



「・・・分かった 自分の人生だ やるだけやってみなさい」

「ありがとう!」

最初からこちらの答えは決まっている
大事なのは娘が自分の言葉でしっかり話せるかどうかだ


ただ私に向かって真剣に話してくれることが嬉しい

たとえそれが分かりきったことでも
答えが決まっていることであっても

そのコミュニケーションが安心と信頼を育むに違いないのだ